まず、ソフトバンクがイー・アクセスを買収したことで契約者数ベースの情勢は大きく変わります。モバイル端末の契約者数では、参加のウィルコムのPHS契約者数まで含めてみると、実質的にKDDIを抜いてソフトバンクが業界2位の3911万(KDDIは3589万、NTTドコモは6063万 ※2012年8月末現在)。PHSを除外したとしても、KDDIとほぼ同水準に至っています。売上高でもソフトバンクはKDDIを抜くことになるので、実質的に業界2位に躍り出ることになります。
そしてユーザの視点から言えば、何よりも大きいのが高速回線用の帯域の確保。LTE用にもすでにソフトバンクが持っている2.1.1GHZ帯に加え、イー・アクセスが使用している1.7Ghz帯も利用することが可能になります。いわゆるプラチナバンドについても、ソフトバンクが持っている900Mhz帯に、イー・アクセスの700Mhz帯が加わることになります。ソフトバンクユーザにとっては、つながりやすさが大きく改善されることが期待できるわけです。また、すでにiPhone5の登場により、先日よりソフトバンクもテザリングサービス(iPhone5をモバイルルーターとして利用できるようにする仕組み)も提供することを発表していますが、回線不足が不安視されていました。その不安を解消する要素にもなりえます。
またソフトバンクは回線利用制限が厳しく、1ヶ月に1.2GBのパケット通信を行うと通信速度に規制をかける、というルールがありました。これはNTTドコモやKDDIから比べると厳しい基準。しかしこのルールも緩和され、3日間で1GBまで、という制限に変わり、他社と同水準になります。ちなみにテザリングは12月15日からサービス開始予定。なお、別途オプション申し込みが必要で、1ヶ月7GBまで利用可能となっています。7GBを超えた場合は速度制限が行われますが、2GBごとに2625円支払えば解除される仕組みとなっています。
ソフトバンクによるイー・アクセス買収によって、通信環境については実質的にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの差は無くなっていきます(厳密には、環境整備などのためにもう少し時間が掛かりますが)。となると、携帯キャリアの競争は、通信環境と言うハードではなく、ユーザエクスペリエンスというソフト部分に中心が移っていくことになるのでしょうね。