急進するスマートシティ市場。このスマートシティに密接に関係するのがICT市場です。スマートシティのトレンドに刺激され、ICT市場もビッグデータをキーワードに変化していくことになります。
スマートシティで重要度を増すICT ⇒ ビッグデータが重要ファクターに
スマートシティ関連のICT市場は急進していくことが予想されている背景には、スマートシティはビッグデータの活用が必要、という要素があります。電力消費量を管理するためのスマートメーターをはじめ、交通状況を管理する車や道路に設置されたセンサー、さらには日常的に情報発信されるソーシャルメディアの情報までを分析し、繋ぎ合わせ、需給のバランスをとっていくことが必要になるからです。そしてそこから生まれるデータ量は膨大であり、さらに増加を続けています。Ciscoが2012年2月に発表したモバイルデータのトラフィック量の予測でも、2011年時点では月0.6エクサバイトであったものが2015年時点では月6.9エクサバイトまで増加します。こうしたビッグデータに対応していくためにICTへの投資は必要不可欠なのです。さらにそのICTを活用するためのコンサルティングやアウトソーシングといったサービスが必要になってくるためです。
また、スマートシティ関連ICT市場が伸びていくことにより、ICT市場全体の伸びも期待されます。IDC Japanが2012年5月に発表した内容によると、ビジネスアナリティクスの市場は2011年時点で約8500億円規模。これが2015年には1兆円規模にまで成長していきます。また、コンサルティングやアウトソーシングなどのビジネスサービス市場は2011年時点で約8100億円規模、これが2015年には1兆円弱までに成長すると予想しています。このほかエンタープライズアプリについても2011年時点で約1兆8000億規模のものが、2015年には2兆100億程度まで成長。ビッグデータに特化した市場予測も、矢野総研が2015年時点で1兆円まで伸びるというデータをだしています。このようにICT市場全般の伸びが期待されるのです。
市場成長を機会に変えるには ⇒ 知識資産を武器にグローバルに、フレキシブルに
今後、スマートシティ市場を中心に、ICT市場も成長をしていきます。では、ここで市場機会をつかむためには具体的にどういったアクションが必要になるのでしょうか。グローバル動向を見ていくと、実は日本の市場はそれほど大きな伸びしろがあるわけではありません。IDC Japanが2012年5月に発表した中国のICT市場動向によると、2013年には中国ICT市場が日本のICT市場を約4%上回り、市場規模は1730億ドルに達するとしています。その後も中国の消費経済の拡大を考えれば、中国のICT市場は堅調に伸びていくでしょう。これに対し、日本は少子高齢化をうけて経済規模は成長曲線を描くことは難しくなってきます。この流れはICT市場に限らず、他分野でも同様の流れがあり、成長と中とはいえスマートシティ市場についても遅かれ早かれ同様の状態がおとずれます。
そこで考えるべきは、グローバルでの事業展開です。ICTで結ばれるスマートシティは、一つの都市に閉じた話ではありません。そして一つの国に閉じる話でもありません。日本の一都市で実現した機能は海外へ輸出展開し、グローバルなビジネスに展開することが可能です。海外に対してスマートシティの知見、ICTの知見といった知的資産を武器にビジネスをしていくことが必要になるのです。
しかしながら、国や地域それぞれに特性があり、単純なコピーでは事業展開は困難です。その国、その地域、そこに暮らす人びとにあわせてサービスを柔軟に調整することが必要です。そのためには個々の機能を疎結合できる環境を用意することが必要です。完全にパッケージにして決め打ちのスキームを作るのではなく、個別機能の選択肢をもたせるのです。そしてフレキシブルなサービス提供を実現していくことが必要不可欠なのです。
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