Google+ローカルがサービススタートしましたが、まだまだこのサービスは発展途上。しかしながら、他の要素を絡めてみていくと将来の可能性が見えてきます。
Knowledge Graphで進化の可能性 ⇒ “今だけ・ここだけ・あなただけ”の地域情報サービスに
では、今後Google+ローカルはどのように進化していくでしょうか。ここで注目すべきはKnowledge Graph、つまりセマンティックWeb技術の導入です。Knowledge Graphを利用することで、Web上に点在する情報を紐付けて提供することが可能になります。これにより、Google+の口コミの量を補完することが可能になります。
さらにKnowledge Graphによって、よりナチュラルにサービス利用が可能になります。例えば
・スマートフォンの位置情報
・自分のプロフィール情報
・これまでの行動履歴
から個人の嗜好を分析します。そのうえで、スマートフォンからGoogle+ローカルに、「同僚とランチ」と入力。そうすると、現在位置を中心に個人の嗜好にあったお勧めの飲食店情報を提供してくれるようになるわけです。将来的にはクーポン配布などのサービスも始まるでしょう。さらに飲食店情報だけでなく、近くでやっているイベントの情報をリコメンドしたり、ランチ後に移動の予定があれば出発時間を提案したり、といったサービスに広がるかもしれません。
また、ユーザと店舗がGoogle+ローカルを使って情報共有ができる仕組みがもし作れたのであれば、さらに進んだO2Oサービスが作れるかもしれません。シンプルに考えられるものとしては空席確認や予約サービス。せっかく店舗まで行っても並んでいて入れない、というのは残念なもの。そこでGoogle+ローカルで空席情報を確認し、席を予約してスムーズに飲食店を利用することができるわけです。
もちろん、こうしたサービスは飲食店だけでなく、映画館やマッサージ、エステ、ホテル、病院など地域にある様々な施設でのサービスに適用することが可能でしょう。GoogleのARメガネ「Project Glass」の主要コンテンツになるのかもしれません。
それでも残る課題は網羅性の担保 ⇒ O2Oサービス共通の課題
このGoogle+ローカルに、Knowledge Graphが追加されることで起こる進化には大きな期待が持てます。しかしながら、それでも問題が残ります。Googleが登場したことで、何でも検索できるようになってきてはいます。しかしそれはあくまでもWeb上に存在する情報のみ。では、Web上の情報は、どれだけ現実の世界の情報を反映しているものなのでしょうか。
当然ながら現実の世界の情報を丸々すべてWeb上に反映しているわけではありません。ソーシャルによって個人の口コミが、IOT(Internet Of Things)によって機械(センサー)が情報をWeb上にあるようになり、かなりの量が反映されるようになっています。ビッグデータという言葉に象徴されるものです。しかし、それでも全ての情報を反映できているわけではありません。
とくにGoogle+ローカルで対象とする地域情報については、実は情報が不十分というケースは少なくありません。地域情報の量は単純に人口集積度に比例します。つまり、都心部で人気の店舗や施設、例えば銀座の有名レストランの情報は大量に集まるでしょう。しかしながら地方部にある店舗・施設、人気や話題にのぼっていない店舗・施設の情報、例えば地域の個人経営の店舗や公民館、医療施設などの情報は集まりにくいのです。むしろ、情報がない、ということもありえるのです。
もちろん、経済競争がありますので人気の店舗の情報が多く集積されることは仕方ないでしょう。しかしながら、真に地域情報を利用する場合のユーザ・エクスペリエンスを感がるのであれば、最低限の情報は担保していく必要があります。特にスマートシティのように、一つの地域の情報が連動してエネルギーをシェアし、様々なアクティビティを共有して言う場合は、一定レベルでの情報の網羅性は重要な課題になるでしょう。しかも信頼性を担保した状態で。
これはGoogle+ローカルに限らず、O2Oサービスを考える上では共通する課題なのかもしれません。なぜなら、O2OサービスはWebサービスとリアルサービスを繋げる仕組み。そしてリアルサービスとは地域で行われているものであり、紐付けには地域情報が不可欠だからです。スマートシティとも緋も付けて、産官学民が一体となった取り組みが必要なのかもしれません。