2012年6月3日日曜日

黎明期にあるスマートシティ ⇒ 目指すところは全てのまちがつながる「スマーター・プラネット」

現在、スマートシティの取り組みは日本の各地で行われています。そして2012年は実証の段階から、実践の段階へと移ってきています。では、このスマートシティはいったいどのような姿を目指して進んでいくのでしょうか。

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  一足飛びには行かないスマートシティ ⇒ ようやく始まってきたビジネス
日本国内のスマートシティの取り組みとしてよく名前が挙がるところは
 ・神奈川県横浜市
 ・愛知県豊田市
 ・京都府けいはんな学研都市
 ・福岡県北九州市
の4箇所が有名です。このほかにも北は北海道から南は沖縄まで大小さまざまに活動を行っています。

では、どの程度までスマートシティは実現されているのでしょうか。スマートシティが求める、災害に強く・持続的で・社会全体が最適化された状態にいたっているケースはまだありません。その大半がエネルギー分野を中心に、特定の施設・設備をつないでの実証実験を行うレベルにあります。行政予算や国の補助金をつけ、それを利用して企業や大学が研究開発を行い、社会実験を行っている、という状態です。

また、スマートシティの根幹には経済モデルが必要になるわけですが、その経済モデルを実現するビジネスはまだ立ち上がっていません。ようやくBEMS(ビルエネルギー管理システム)などの一部領域でビジネスがスタートし始めたところです。2015年には国内20兆円とも言われるスマートシティ市場は、まだ黎明期にあるわけです。


  スマートシティが目指すところは ⇒ まちがつながり、持続的に、発展的に
スマートシティは、災害に強く・持続的で・社会全体が最適化されたまちづくりを行うもの。しかしながら、その活動は一つのまちに閉じてしまうものではありません。エネルギーの融通、医療サービス、交通サービス、教育など社会を構成する機能は、ひとつのまちで完結することは困難であり、まちとまちを結んだ相互補助関係が必要なのです。

また、経済という側面を見ても、ひとつのまちに閉じて話をしては地産地消まででとどまってしまいます。地産地消は地域内での経済活動を活性化する動きの一つであり、経済の基盤となるものではありますが、それだけではスマートシティを持続的なものにするための経済の成長性は得ることができません。では、何が必要かというと、他のまちとの経済交流です。他のまちから人が観光や買い物で訪れることで地域経済に刺激をあたえることになります。また、他のまちに対して商品やサービスを提供することでも経済価値を得ることができます。

このように、スマートシティを実現していくためには、まちとまちがつながっていくことが必要なのです。そして相互に社会機能を補完し、経済を刺激しあい、豊かな社会を持続させていくことが必要なのです。さらに言えば、社会環境の変化に合わせて発展し続けることも必要になるのです。

では、どの程度の規模でまちがつながっていけばよいのでしょうか。当然ながら2つ、3つのまちがつながっているだけでは不十分です。かといて10なら十分かというと、それは明言できません。ただ、理想論から行ってしまえば、全てのまちがつながることがベストの状態ということは間違いないでしょう。全国のまちがつながり、相互補助関係をつくっていれば、より高度な機能を実現し、持続性も発展性も強化されていくに違いありません。さらに言えば、一国に閉じる必要もありません。世界中のまちがつながる状態、それが究極形でしょう。スマートシティの構想をIBMが立ち上げたときに「スマーター・プラネット」と銘を打ったのは、こうした背景があるからこそです。


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