2012年2月8日水曜日

FacebookのOpen Graph(オープングラフ)で何ができる?どう変わる? ⇒ 行動のシェアが、ソーシャル・コマースを進化させる

Facebookが今後力を入れていきそうなカテゴリの一つにOpen Graph(オープングラフ)があります。ニュースにもなっているので言葉としては知っているものの、どんなものなのかがいまいち良くわからない。ということで、Open Graphが何なのかを調べてみました。


  Open Graphとは何か ⇒ Facebookを介したネットワーク
Open Graphは、ひとことで言ってしまえば「いろいろなWebサイトとFacebookを結びつける」もの。つまり、Facebookを通じて、NewsやブログなどのWebページの情報もユーザ同士が共有できるようにするための仕組み、ネットワークなのです。

いろいろなWebサイトに設置されている「いいね!」ボタンが具体例です。
 ・Webサイトの「いいね!」ボタンを押す
 ・Facebookのタイムライン上にWebサイトの情報が投稿される
 ・他のユーザがその投稿をFacebook上で見る
といったながれでFacebook以外のWebサイトの情報が共有されるわけです。


  進化したOpen Graph ⇒ アプリが自動的に“行動”をシェア
このOpen Graphは2011年9月にアップデートされました。そしてどのように進化したかというと、ユーザの行動がシェアできるようになったのです。具体的には
 ・○○の音楽を聴いている
 ・○○のニュースを読んだ
 ・○○を買った
 ・○○で○Km走った
といった形で、“今、なにをしているのか”をユーザ同士が共有できる仕組みになっています。

このとき、ユーザがいちいち「いいね!」ボタンを押すようなことは必要ありません。
 ・Open Graphに対応したWebページ(アプリ)にアクセスする
 ・Open Graphでの接続を許可する
 ・当該のWebページを利用する
 ・自動的にFacebookに行動の情報が投稿される
 ・他のユーザが投稿された情報をFacebook上で見る
という流れになります。要するに、Open Graphに対応したアプリが自動的に情報を投稿してくれるのです。

なお、このようにユーザの行動がシェアされると情報量が多くなりすぎ、ニュースフィードを読むことも一苦労、なんて状態になりかねません。そこで登場したのが
 ・リアルタイムフィード(ティッカー) : Facebookの画面の右側
 ・タイムライン : 自分の名前を
の2つの機能です。リアルタイムフィードはTwitterのように友達が投稿した情報をリアルタイムに、投稿した順番にどんどん表示します。そしてタイムラインはユーザごとに何をしてきたかがわかるサービスです。ユーザごとに自動作成される専用ページのようなものです。これらの機能によって、Open Graphからの情報は
 ・自分と関連性の特に高い情報 ⇒ ニュースフィードに表示
 ・あんまり関係ない情報 ⇒ リアルタイムフィードに表示
 ・自分の情報 ⇒ タイムラインに表示
という形でコントロールされるようになるわけです。


  今後Open Graphはどうなるのか ⇒ アプリのネットワークを広げ、ソーシャル・コマースを進化させる
FacebookはeBayとの提携を2011年10月に発表しています。そして、Open Graphを利用したソーシャル・コマース(Facabook上での商取引)のプラットフォームを構築していくことも明らかにしています。

これはFacebookをはじめとするSNSのあり方に進化をもたらします。今までのSNSはコミュニケーションの場であり、企業にとっては消費者との接点を持つための場でした。このSNSから、いかに商取引につなげていくかが必要だったのです。しかし、ソーシャル・コマースのプラットフォームができれば、Facebook上で商取引自体もできるようになるのです。Facebookのゲームアプリなどでの有料サービス(ゲーム内での有料アイテムの販売)はその一つでしょう。

また、2012年1月、FacebookはOpen Graphに、新たに60社のパートナーが加わったことを明らかにしました。このOpen Graphを普及させるには、対応するアプリが増えることが必須要件となります。その実現に向けて、動きを活発化させているということでしょう。すでに、娯楽、フィットネス、食べ物、慈善、音楽、ニュース、買い物、旅行などのカテゴリに対応したアプリが登場しています。
こうしたアプリが増える分、そして利用するユーザが増える分、共有されるユーザの行動の情報も増えます。ここにソーシャル・コマースの仕組みを乗せたらどうなるでしょうか。それはアプリを提供する各社にとって、非常に大きなビジネス機会となるはずです。もしかしたらそれは、Amazonが登場したとき以上のインパクトをビジネス、とくに小売・サービス業にもたらすかもしれません。



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