スマートシティとは何か ⇒ 経済と社会の活性化につながる現代版公共事業
スマートシティは太陽光発電や電力管理といった分野で話をされがちですが、それはスマートシティの一分野であるスマートグリッドのこと。スマートシティはスマートコミュニティとも言われ、エネルギーだけでなく、医療、交通、行政サービス、治安維持、教育などの社会システム全体を、持続的で災害にも強い形で最適化する取り組みのことをさします。最適化とは、経済的に安定している状態で、社会の需給バランスが取れており、社会に暮らす一人ひとりが豊かに暮らせる状態にすることです。
このスマートシティはビジネスにも大きな影響を与えていきます。単純に考えてもスマートグリッドの分野で太陽光パネルや電力管理システムの導入が進みますし、交通システムを再構築するのであればインフラ工事が発生します。それに関わる企業には事業機会が発生し、収益機会につながるわけです。経済活性施策につながる現代の公共事業といっていいでしょう。事実、アメリカのオバマ大統領は2009年にこうした取り組みを”グリーン・ニューディール”と銘を打っています。ただ、これまでの公共事業と違うことは、行政が完全主導するわけではなく、産官学民が連携し、それぞれが当事者として実現に向けて動いているのです。
急伸が期待されるスマートシティ ⇒ エネルギー分野だけで世界4000兆円規模へ
では、スマートシティの市場は今後どうなるでしょうか。2011年12月に日経BPクリーンテック研究所が発表した『世界スマートシティ総覧2012』によると、世界のスマートシティ市場は累積ベースで2015年時点で約600兆円、2030年時点で約4000兆円となっています。ここで注目なのが、この統計の対象になっているのが、太陽光や風力による発電、送電システム、ガス管理システムなどエネルギー分野に限られているということ。つまり、スマートグリッドの市場規模のみを表した数字となっているのです。スマートグリッドはスマートシティの構成要素の一つに過ぎないということを考えれば、市場規模はさらに大きく広がっていることが用意に予想できます。
これに対し、日本国内の市場はどうなるのでしょうか。IDC Japanがスマートグリッドではくスマートシティとしての切り口でICT市場の予測を2011年9月に発表しています。この発表によると、国内スマートシティ関連ICT市場は2011年時点で3000億程度だったものが2015年時点で6000億円となっています。もちろん、このIDCの予測はICTに限られた話。ITRが2011年11月に発表した企業の売上高に締めるIT予算比率3.0%を踏まえて考えると、国内のスマートシティ市場は2015年時点で20兆円規模になると推測できます。
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