2012年6月15日金曜日

AppleやGoogleが地図に見ている可能性とは ⇒ ビッグデータを活用した新たなユーザ・エクスペリエンスへ


AppleやGoogleが力を入れている地図の分野。もちろん、単純に地図を提供するだけではなく、その先の可能性も見ているわけです。ユーザ・インタフェース、そしてM2Mでの位置情報利用はあくまでも“今見えている”可能性。では、その先には何があるのでしょうか。

Apple-Maps-iOS / sam_churchill


  さらなる可能性はアナリティクス ⇒ すべての情報につながる位置情報
地図提供の先にAppleやGoogleが見ている可能性はビッグデータのアナリティクスでしょう。

なぜ、アナリティクスが位置情報利用の可能性となるのかというと、“位置情報は世の中のほとんど全ての情報にリンク可能”だからです。私たちは現実の世界で生活をしています。現実の世界には、時間と空間の概念が常の存在します。つまぢ、すべての情報は関連付けようと思えば、情報が発生したり、更新されたり、利用された瞬間の時分秒、緯度経度を管理することが可能になるわけです。

それは逆の味方をすれば、ある瞬間、ある空間で発生した情報を一元的に関連付けることが可能になるということです。個人のプライベートな情報、行政のパブリックな情報、企業のビジネスの情報は一見すると無関係に見えます。しかし、時間や空間という概念を共通タグと使用して紐付けてアナリティクスをかければ、今までに見えなかった情報の相関性が見えてきて、新しい知識を生み出しことができるわけです。


  重要性が増す精度 ⇒ 3Dは必須要件
アナリティクスで利用していくためには情報の精度が必要になってきます。あいまいな情報でアナリティクスを行えば、その結果得られる知識も中途半端であいまいな鋳物になってきます。そこで情報の精度、信頼性は非常に重要な要素となってきます。とくに共通タグとして使用する時間や空間の情報は、アナリティクスのベースになる情報になるため高い精度が求められるようになってきます。このとき、時間については特に大きな問題はありませんが、空間=位置情報については課題があります。その課題には、どれだけ現実の空間を忠実にデータとして再現しているか、ということにつきます。

もちろん、道路の幅、土地の大きさなどの情報の精度向上も必要ですが、これまでGoogleやAppleが提供してきた地図には大きくかけている要素がありました。それは“高さ”です。空間として考えた場合、平面ではなく立体で考えなければいけません。例えばショッピングモールの場合、1Fの洋服店が集まるエリアと、3Fの飲食エリアでは人の行動も質も変わってきます。それらの情報をより精緻に分析するためには“高さ”の情報が必要になるわけです。したがって、3次元構造で位置情報が管理されることは必須要件となってくるわけです。


  位置情報だけでは不十分 ⇒ 周辺技術とリテラシーも必須要素
ただし、アナリティクスで位置情報を活用するためには、位置情報があるだけでは意味がありません。位置情報はあくまでもベースとなる情報。その位置情報を利用する、ユーザの行動情報を取得できるデバイスやアプリ、どこにいるかを補足できる測位技術、発生した情報を管理・分析するシステム処理やユーザインタフェースなどの機能を総合的に利活用できなければ意味がないのです。

こういった観点から言えば、GoogleやAppleは巨人として資本力もあり、開発力もあるため、十分にリーダーシップをとって位置情報を軸にアナリティクスまで発展させて利活用できる環境を整えていけるでしょう。ただし、ユーザサイドにとっては落とし穴があるかもしれません。GoogleやAppleがリーダーシップをとるということは、GoogleやAppleに情報が集約されていくということ、もちそんその中には自分自身の個人情報も含まれていきます。万が一、GoogleやAppleに何かトラブルがあれば、自分自身の個人情報がリスクにさらされてしまう可能性もあるということです。また、ベースとなる位置情報は更新し続けることが必要になりますが、その更新をGoogleやAppleが止めてしまえば情報が利活用できなくなってしまうこともありえます。将来の可能性を広げていくためには、情報利活用のリテラシー向上も必要要素となるわけです。