少子高齢化が抱える問題。とくに労働力確保という観点では、女性の雇用の問題と密接に関わってきます。そしてさらに視野を広げて、高齢者自身の雇用も含めて見ることで解決の可能性が見えてきます。
労働力確保の要点 ⇒ 女性と高齢者の雇用
では、どうやって労働力を確保していくべきなのでしょうか。一つは移民政策が考えられます。しかしながら、
異なる文化を受け入れていくことには時間がかかります。また、日本の場合は言葉の壁が英語圏に比べると高く、単純に移民を受け入れることでは労働力確保には至りません。事実、インドネシアから受け入れた介護士の6割が帰国している、というニュースもあります。もちろん、これは労働環境の問題などもあるのでしょうが。いずれにしても、移民によって労働力を確保するには一筋縄にはいきません。
そこで別の可能性として考えられるのが女性雇用なのです。例えば結婚や出産・育児で仕事を辞めてしまった女性が、男性と同様に働くことができれば、単純計算で現役世代の労働力は倍になります。労働人口を大きく確保することができるのです。
もちろん、すべての現役世代の女性を登用することは困難です。そこでもうひとつの可能性として考えられるのが高齢者の雇用です。65歳以上でも働ける方、働きたい方はいますので、仕事をしてもらうのです。これは女性に限らず、男性も含めて。そして高齢者自信が労働によって収入を確保することができれば、社会保障制度を是正する可能性が出てくるわけです。
それでも単純には解決しない ⇒ 社会全体の共助システムが必要
女性と高齢者を労働力として確保するとした場合、さらにもうひとつ考えるべきことがあります。労働のバランスを考えた、社会全体の相互作用をデザインすることが必要となります。
まず考えなければいけないことは、人それぞれ働き方のスタイルがある、ということです。自分で考えて自分で動いて価値を作り出したいナレッジワーカータイプ、自分の得意領域でスペシャリスト的に仕事をするスキルワーカータイプ、言われたこと淡々とルーチンワーク的にこなしたいマニュアルワーカータイプがいるわけです。それぞれの働き方を尊重しなければいけません。また、仕事とプライベートの考え方もそれぞれです。あまり境目のない人、明確に分ける人がいることも忘れてはいけません。
また、年齢によってパフォーマンスが発揮できる領域が変わってきます。20〜30代であれば体力を武器に仕事もできるでしょうし、40代は経験も実行力もバランスがとれるでしょう。50代以降は徐々に体力的な部分よりも知識・経験が武器となってきます。60代、70代は一歩引いたところからサポートすることで大きな価値を生み出すかもしれません。
そうなったときに、男性、女性、高齢者それぞれの特性、個々のスタイルを尊重した共助型の社会システムが必要になるわけです。そしてこの“共助”自体が労働となり、収入につながるものにすればよいのです。例えば40代男性のAさんが会社を経営し、30代育児中の女性のBさんが在宅勤務で働き、保育施設の保育士を70代のCさんが務める。そうすることで、Cさんは収入を得ることができ、Bさんは子供を預けて仕事ができ、Aさんは有能な人材を登用できて収益が上がり、全体で経済を底上げすることが可能になる訳です。
そのための第一歩として、まずは女性雇用を含めた現在の雇用システムを見直していくことは必須と言えるでしょう。