2012年1月12日木曜日

2012年のビジネスに影響を与えそうな13のキーワード

2012年も2週目。そろそろおとそ気分も抜いて、ぼちぼち今年のトレンドがどうなるか、頭をめぐらさなければ。ということで、今年2012年のビジネスに影響しそうな13個のキーワードをマクロ観点から簡単に整理してみました。ちなみに今回はPESTのフレームワークで整理しています。






≪政治≫
  ⇒ 全体的に不確定要素が多いが、東北の震災復興を中心とした行政の動きによるビジネス機会創出の可能性

  「問われる世界のリーダー」 ⇒ 各国の首長が変わることで国家政策に影響
今年はアメリカの大統領選挙をはじめ、ロシア、中国、台湾、韓国、フランスなどで国のリーダーを選ぶ選挙が行われます。日本も解散総選挙がうわさされており、各国の政策方針が大きく転換される可能性があります。消費増税の是非も選挙次第でしょうしね。

  「地方自治からの変革」 ⇒ 中央と地方の行政制作に影響
2011年の大阪ダブル選挙は既存の政党政治に「No!」を突きつけました(民主・自民・共産党の支持を得た平松氏を、維新の会の橋下氏が破って市長に当選)。橋下市長の断行する行政改革がどのような成果をもたらすのか、そして他の自治体や国政にどのような影響を与えるのか、注目です。

  「震災復興」 ⇒ 東北での経済活動が増加
海外では「Tripl Disastars(地震・津波・原発の3つの災害)」といわれている東日本大震災。その被災地の復興に向けた活動が本格化します。今年はボランティアだけでなく、復興に向けた経済活動(雇用の創出、経済循環の構築など)がより求められることになります。


≪経済≫
 ⇒ 先行き不透明な経済のリスクは継続し、下ぶれ上振れの可能性は混在

  「欧州危機」 ⇒ 世界経済のリスクは継続
2011年に引き続き、欧州危機は重要なトピックとなります。ギリシャで発生した信用不安は、欧州各国、さらにはアメリカ経済にも影響しており、世界的な経済低迷が続いています。3月のEU首脳会議まで、どこまで問題が収束できるかがポイントになりそうです。また欧州の不安が長引く分、新興国を中心に投資マネーが動く可能性も考えられます。

  「サスティナビリティ」 ⇒ エネルギーを中心に投資
資源枯渇の問題を背景に、経済活動のサスティナビリティ=持続可能性を担保するための施策、とくにエネルギーに関わる施策が増えことが予想されます。すでにGoogleも2011年12月に、太陽光発電施設に対して9400万ドルの出資を行っているなど、エネルギー関連の投資が増える可能性があります。ただし、短期的な利益につながるかは不透明です。

  「知識主義の始まり」 ⇒ 知識が競争力に
従来型の資本主義経済に陰りがみえており、物質的な量(ヒト・モノ・カネ)は企業の競争優位性に直接的に結びつかなくなってきています。その反面、ソフト的な質=知識がより重要な価値を持ち、競争力の根源となってきています。この傾向はより強くなりそうです。こちらも短期的な利益につながるかは不透明です。


≪生活≫
 ⇒ 社会の豊かさが再考され、新しいライフスタイルへのニーズが顕在化しビジネス機会を創出

  「ソーシャル・コミュニティ」 ⇒ つながりを重要視
震災以降、人と人のつながり(友人・同僚・家族)が重要視され、コミュニティベースでの社会活動が盛んになっています。ソーシャル・メディアの普及も手伝い、この流れは今年も続いていくことになります。

  「スマート・ライフ志向」 ⇒ 社会での共有と適正利用
原発問題を受けて、電力不足は2012年も続くことになります。社会全体の最適化を考え、限られた資源を利用することは必須命題となっています。個人においても、適正にサービスを利用・消費して満足を得るライフスタイル = スマート・ライフはスタンダードとなっていきます。ワークスタイルにも変化が起きてくるでしょう。

  「価値観の再定義」 ⇒ より精神的な価値を重視
経済やテクノロジーの大きな変化により、従来の社会的な常識が崩れ始めています。東日本大震災を踏まえ、安心・安全とは何か、豊かさとは何かといった根本的な価値観を改めて見直される時期になってきています。絆や信念、哲学といった精神的な価値がより重要視されます。


≪テクノロジー≫
 ⇒ ビッグデータに紐づく、新しいテクノロジーが登場し、サービスとして利用可能な環境に

  「クラウドの拡大」 ⇒ クラウド活用は必須要件
かねてからの流れをうけ、企業でのクラウド利用はもちろんのこと、個人でのクラウド利用も増えていきます。これにあわせて、クラウド型のサービスもさらにラインナップを拡大し、クラウドを利用するシーンはより一層増えそうです。

  「ユーザ・デバイスの高度多様化」 ⇒ 新しいユーザ・エクスペリエンスの誕生
デバイスはさらに発展し、処理能力・通信速度ともに向上していきます。クアッドコア、LTEといったキーワードは外せません。センサーにより、自動的に情報を取得する仕組みも増え、ヒトが介在しない“モノのインターネット(IOT)の活用”も広がる可能性があります。また、ネットTVも注目のデバイスとなってきます。

  「ソーシャルの進化」 ⇒ 求められるソーシャルからのイノベーション
ソーシャル・メディア自体はコモディティ化し、その利用(マーケティングなど)は企業にとって必須命題となってきます。インターネットユーザは、なんらかの形でソーシャルを利用する環境となってきます。今後はいかにしてソーシャルを活用し、新しい価値を生み出すかが議論の焦点になってきます。

  「ビッグ・データの活用」 ⇒ アナリティクス・サービスの普及
クラウドやソーシャルの普及によって、膨大な情報がアーカイブされるようになりました。この情報をビジネスに活用することが次のステップとして求められてきます。特に膨大なデータから新しい気付きを得るためのアナリティクスサービスが多数登場する見通しです。



  まとめ 

総じて見ると、政治・経済については不確定要素が多くなっています。これに対して、テクノロジーについては既に企業各社が関連サービスを発表していることもあり、比較的確度は高いといえます。生活であげたトピックも大きな潮流となっているため、確度は高目です。

ここから考えると、「テクノロジーを活用した、生活者視点でのビジネス構築」が、2012年は求められると言えるのではないでしょうか。特にポイントとなるのは「生活者視点」であること。テクノロジーを並べるだけでは意味が無く、生活者にとって価値のあるサービスに昇華させることが求められます。

また、政治・経済のリスクと機会に備えることも必要となります。そのためには、凝り固まったビジネスモデルではなく、ぶれない軸と柔軟性を兼ね備えたビジネスモデルとすることが求められるわけです。当然、企業や組織の壁を越えて、新しい価値を生み出せる仕組みを用意することも必要です。