2012年3月12日月曜日

テレビ・雑誌の情報発信力はいまだ高し ⇒ でも、そもそもの評価軸を見直さないと踊らされるだけ

東日本大震災から1年と1日目。震災がきっかけで見直されたものが多くありました。そして、この震災から一年というタイミングで、各方面から統計結果が出てきています。この統計結果は私たちの社会がどういう意識をもっているのかを表す情報です。今後を占う上でも、整理しておいてそんはありません。そこで、まずはメディアの評価から整理してみたいと思います。

久しぶりに日経新聞みたら一面の広告が、電子書籍系にジャックされている。 / k14



  情報発信力を表すメディア接触率 ⇒ 今でも高いのはテレビ・新聞
日本新聞協会は2012年3月9日、「2011年全国メディア接触・評価調査」の結果を発表しました。メディアとしての接触率が高いのはやはりテレビ。そして新聞。インターネットが普及してきたとはいえ、やはりテレビ・新聞は強い。私たちの生活の中に組み込まれている、ということの現れでしょう。

東日本大震災のときも、特に被災地では新聞は重要なメディアであったことは記憶に新しいところです。通信網が破壊され、テレビも流され、ラジオもない。そんなときに新聞は情報を伝達する手段として重宝されたことは間違いありません。また、テレビはリアルな震災の情報を映像を使って多くの人びとに伝えていました。こうした経緯もあって、テレビ・新聞はインターネットが普及してきた現在でも、高い接触率を誇っているのかもしれません。

ちなみにこの接触率は「どのメディアが、どれだけ情報を届けることができるか」を表す指標です。例えば企業が広告を出したりする場合に、どのメディアを使うべきか判断する際に重要な指標となります。


  単純評価できないメディア接触率 ⇒ 新しい評価軸が必要になる
今後、ネットTVやオンライン電子書籍が普及すればこの接触率にも変化が起きてくるでしょう。少なくともオンラインメディアとオフラインメディアで切り分ける必要はあるかもしれません。インターネットは単なる情報伝達の手段でしかなく、メディアはその上にのるサービスだからです。

また、ラジオは接触率が低くなっていますが、震災でラジオの重要性は見直されいます。インターネットラジオのRadkoも放送コンテンツを増やしていることから、単純に評価すべきではないかもしれません。
雑誌については、ひとつ面白い気付きがあります。雑誌の特性と、いわゆるインターネット・メディアの特性に類似するポイントが多いのです。
 ・特定のテーマで情報が揃えられている
 ・エンターテイメント性がある
 ・自由度が高い           などなど
雑誌の読者投稿や読者モデルといった“読者”を主役にした仕組みも、広義に捉えればソーシャルなアプローチともいえます。つまりSNSとも類似する点もあると言えるのです。

こうした点をふまえるとインターネットを5つ目のメディアとして並べることは適正ではないのかもしれません。また、新聞・テレビ・雑誌・ラジオ・インターネットという単純な切り分けでは通用しなくなる可能性があります。メディアの情報発信力を把握するためには、接触率の評価軸自体を見直すことが必要です。


  この先のメディア接触率の考え方 ⇒ オンライン・オフライン ×特性で整理
では、この先メディアはどのように捉えていけばよいのでしょうか。それはよりシンプルに、原点に回帰しながらも発展性のある捉え方をするべきだと考えています。では、どうやって整理するか。先に述べたとおり、オンライン・オフラインの切り分けは必要でしょう。

これに加えて新聞・テレビ・雑誌・ラジオの特性を改めて整理します。
 ・新聞 ⇒ ニュース・メディア
 ・テレビ ⇒ 映像メディア
 ・雑誌 ⇒ オープン・メディア
 ・ラジオ ⇒ 音声メディア
ここで言うオープン・メディアは造語です。だれでも参入でき、情報発信でき、交流もでき、他のメディアとも繋ぐことができるメディア、という定義になります。これをふまえるとメディアは以下のようなマトリックスで整理することが可能になります。


これに地域や年代などの統計的な要素を加えてみていくことで初めて、「どのメディアが、どれだけ情報を届けることができるか」を適正に評価できるのではないでしょうか。その上で、確実に必要な情報を必要な人に届けることが、今後メディアに強く求められるのです。



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