アナリティクス・サービスの拡大の可能性は、マーケットの指標からも見えてきます。直接的なアナリティクス・サービスの市場統計がなくても、関連するストレージ市場やテキスト・マイニング市場が成長していることから、今後アナリティクス・サービスは拡大して市場形成をしていくと考えられるのです。
アナリティクス・サービスに関連する市場とは
・利用可能な情報量が増える
・単純に数値で表せない情報から、必要な情報を抽出する必要がある
という2つの条件がそろってくることでニーズは拡大していきます。これはステログの事例からも言えることです。
上記を踏まえると、具体的に指標を読み取ることができる市場は、
・利用可能な情報量 = ストレージ市場
・情報の抽出 = テキスト・マイニング市場、ビジネス・アナリティクス・ソフトウェア市場
といったところになります。
情報爆発により堅調に伸びるストレージ市場
IDCジャパンによると、2010年度の日本のストレージ市場は前年比8.3%成長の226億円。モバイルやクラウドの利用が増えたことで、2010年から2015年までは年10%平均で成長していく予想し、2015年には369億円市場になると予想しています。また、世界市場でもIDC発表の2011年Q2のストレージ市場は前年比12.2%増の56億ドルとなっています。
Source: IDC Japan, 1/2012
このストレージ市場が伸びるということは、それだけ保存するデータの量が増えているということ。保存するデータには企業の売上や利益などの業務に必要な数値情報だけでなく、個人でも利用するメールや画像、動画などのファイルなど、パソコンやスマートフォンを使ってやり取りされる情報全てが含まれます。つまり、それだけ多様な情報が膨大に保存されるようになっていることを証明するものなのです。
成長期に入ったテキストマイニング市場
ITRによると、2010年度の日本におけるテキストマイニング市場は前年比11%増の25億円。ソーシャルメディアの分析のニーズが高まっていることから、2011年以降も恵贈して市場成長すると予測しています。
また、海外でもアナリティクス(情報分析)関連会社の買収が相次いでいることから、アナリティクス・サービスの成長への期待が高まっていることがうかがえます。
・Twitter 情報集約サービスのSummifyを買収
・Google リコメンドアプリのClever Senseを買収
・IBM EC分析ソフトのDemandTecを買収
・HP データ分析のAutonomyを買収
このテキストマイニングもアナリティクスの手法の一つ。テキストマイニング市場の成長は、膨大な情報に対して、アナリティクスのニーズが顕在化してきていることを証明するものでしょう。
明確に成長しているビジネス・アナリティクス・ソフトウェア
IDCジャパンが発表した2010年の日本国内のビジネス・アナリティクス・ソフトウェア市場動向によると、2010年は市場規模1306億円、前年比6.4%の伸び。2010年~2015年では年4.1%で成長し、2015年の市場規模は1598億円に達すると予測しています。
ビジネス・アナリティクスは主に業務の情報を分析することを目的としています。このため、ビッグデータのアナリティクスに比べると市場の範囲は限られます。しかしながら、IBMが示した分析サービスのモデルのように、エンタープライズからソーシャルまでが連携したアナリティクスが今後展開されていくとするならば、このビジネス・アナリティクス・ソフトウェアの市場動向と比例して、アナリティクス・サービス全体の成長が期待できます。
まとめ:アナリティクス・サービスは成長期をむかえ、本格的なビッグデータ活用が始まる
ストレージ市場の成長は、保存されているデータが増えることを意味しています。これは利用可能な情報が増えることを意味していますが、あくまでも“使おうと思えば使える”といったレベルでしかありません。いわば現在は“ちらかった状態”。
これを一度整理し、私たちの生活やビジネスに役立つ形にするためにはアナリティクスが必要になってきます。その一つとして、すでにテキストマイニング市場やビジネス・アナリティクス・ソフトウェア市場が成長してきているというわけです。今後はIBMが発表したソーシャル分析サービスのように、テキストマイニングから拡大したアナリティクス・サービスも増えていくことでしょう。
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