2012年1月23日月曜日

【ネタバレBookReview】ビッグデータビジネスの時代 堅実にイノベーションを生み出すポスト・クラウドの戦略


鈴木 良介
翔泳社
発売日:2011-11-09
現在、バズワードともなってきている「ビッグデータ」をテーマとした本。自分自身もビッグデータのトレンドを研究しているわけですが、要点がきれいにまとまっており、わかりやすく、非常に共感が持てる内容でした。

以下、解釈を含めながらの要約です。

  ビッグデータの活用のポイント
・全ての顧客の声に耳を傾けることができる
・過去のデータの蓄積から、おのずと顧客の求めるものが見えてくる
・細かい、気の利いたサービスに転換することができる

  ビッグデータとは何か
ビジネスや生活のニーズを満たすために、ITの発展と共に蓄積された膨大なデータ。
そのデータは
・多様に
・高解像に(具体的に、詳細に)
・高頻度に
発生してくる

  ビッグデータの活用は、IT活用の第2の壁
IT活用の第1の壁は電子化すること。
そして今、多くの企業が直面しているのが第2の壁である、電子化された大量のデータの活用=ビッグデータの活用にある。
さらに自社内に閉じ困らず、オープンに外部と連携して活用できるか否か、が第3の壁として存在。

  ビッグデータ活用の流れ
まず、第1に把握・収集すること = データを取得する仕組みが必要。
第2に、蓄積し、処理可能にすること = ストレージが必要。
第3に処理・分析すること = アナリティクスが必要。

  ビッグデータ活用の課題
人材不足 : ビッグデータを活用するには幅広い知見が必要となるが、そのための人材は不足している
セキュリティ : 個人情報や機密情報管理についてのポリシーを明確にすることが必要となる
信頼性 : 分析処理の信頼性、その活用のためのリテラシー育成をどうするか、解決が必要となる

  ビッグデータの分類
ビッグデータはリアルタイム性と影響する範囲によって整理可能。
リアルタイム性 :
ストック型 ⇒ 蓄積されたデータを活用
フロー型 ⇒ リアルタイムに発生するデータを活用
影響範囲
全体 ⇒ 組織やコミュニティなど、普遍的に影響するケース
個別 ⇒ 個々人のニーズや行動に影響するケース

  ビッグデータビジネスの可能性
効率化のためのシステム開発から、価値創造のためのイノベーションへと存在価値の変革が求められているシステムベンダーにとってはチャンス。
そのためには、以下要点への対応が必要。
・ユーザ視点でのシステム開発
・サービスレベルまでを考慮
・顧客のビジネスの提供価値にフォーカスし、継続型のサービスを提供
・提供のために、特出した技能を提供し、コラボレーションによって相互補完

また、同時にクラウドベースでのサービスが増えるため、通信業者にとってはビジネスチャンスが膨らむ可能性あり。
高速通信だけでなく、低速通信の再活用(IOT分野での利用など)により、市場価値をさらに提供可能。

  まとめ
ビッグデータは新しく作るものではなく、今まで積み上げてきた膨大な情報を活用すること。
それを死蔵させるか、活かすかの分かれ道にあるのが現在。
少なくとも、ビジネスや生活に大きな価値観の変化は求められる。