日本経済新聞出版社
発売日:2011-11-11
内容的にはソーシャルメディアのもたらしたインパクトを整理しながら、多数の事例を紹介しているので、具体的なシチュエーションもイメージしやすいです。また、フィリップ・コトラーなどを引用していたり、統計データを丁寧に説明していたりと、ロジックの裏づけもわかりやすく、納得性は高い内容です。
以下、解釈を含めながらの要約です。
ソーシャルメディアがもたらした変化 = ソーシャルシフト:価値観の変革が求められる
・広告は、目立つことよりも共感が大事
・商品は、流行ものより細やかな心配りが求められる
・企業は、マイクロマネジメントではなく理念と哲学に基づく行動が必要
・ビジネスは、目先の利益も大事だけれど、社会に対する貢献を意識しなければいけない
ソーシャルシフトが起こる時代の特徴
・情報の99.996%はスルーされ、わずか0.004しか人間は活用できてない、情報爆発時代
・ソーシャルメディアは、欧米13歳以上で携帯電話を所有する人々の50%に達する
・ソーシャルメディアユーザの84%は、ソーシャルメディアによって「知りたい情報が得られた」と回答
・ソーシャルメディアを通じた、友人からの情報は、一般的な広告よりもはるかに信頼度が高い
(友人からの情報90%に対し、テレビ広告は62%、検索広告は41%)
企業に求められること
・ビジネス活動の透明性(不透明、あいまいは許されない)
・共感が必要(一方的な提供では成り立たない)
・一般消費者もバリューチェーンとして考える(全てのビジネスが社会生活者視点で動くべき)
・オープンたれ(自社に閉じこもっていてはイノベーションは起きない)
・ソーシャルを含む膨大なデータを活用する(データを死蔵させてはいけない)
※米国防総省もビッグデータが、重大な変化の予測に活用できることに2011年に言及
企業が注意すべきこと:ソーシャルを避けない
・ソーシャルメディアを使おうが、使うまいが炎上はする
・誠実な姿勢でソーシャルに向き合うことが必要
・炎上してしまっても、その対応を丁寧に行えば解決はできる
・運用上はポリシー(マニュアルではなく)を整理し、できる人間がやる
(役職ではなく、個人のポテンシャルで担当を選ぶ。)
企業がソーシャルシフトを起こすために
①ソーシャルシフトの必要性を社内で理解してもらう(小規模の研究からスタート)
②プロジェクトを発足させ、ブランドの哲学を組織横断で作り上げる
③顧客視点で優先度を決め、ブランドを作り上げていく(必要な改善を行う)
④ソーシャルメディアを運用し、生活者と対話する
⑤生活者からの声に耳を傾け、継続的に改善する
⑥社員と顧客、そして関係者全ての幸せを尊ぶ文化を創る(シェアの文化)
まとめ
ソーシャルシフトによって、システマティックなビジネスには成長の限界点を迎えつつある。
この先の成長には、ビジネスの哲学・理念に基づき、社会に貢献し、生活者や関係者の共感を得る価値提供が求められる。
そのために、直接社会や生活者と対話するソーシャルメディアの活用は必須となる。
つまり、ソーシャルメディアから得られるビッグデータの活用には、新たな成長への可能性が詰まっているといえる。