2012年1月17日火曜日

【ネタバレBookReview】心を上手に透視する方法

トルステン・ハーフェナー
サンマーク出版
発売日:2011-08-25

「心を上手に透視する」というショッキングなタイトルがついているが、いわゆるNLP(神経言語プログラミング)の本。もっと平たく言ってしまえば、コミュニケーションの本

このため、コミュニケーション関連の本を読み漁っている人にとっては「あぁ、知ってる。」というものが多いし、よくよく考えてみれば「人として当然」というアドバイスも多い。とはいえ、改めて体系立てられた形で読めるので、NLPやコミュニケーションといったものに興味があれば、一読する価値はある。

以下、所感を交えながら内容を整理。

  基本的な考え方 
コミュニケーションについての基礎知識としておさえておきたい内容。とにかく相手を観察する、よく聞く、というのがスタートとなる。そして、相手を理解することができれば、こちらの意思を伝えやすくなるわけである。
 - 人は先入観に左右される
 - とくに見た目の第一印象がインパクトをもたらす
  (ゆえに初対面は見た目が大事)
 - 相手をよく知るためには、よくよく観察しなければならない
 - 観察することで、相手のこと、ものごとを理解することができる
 - メラビアンの法則(内容7%、声の質38%、体55%%)で意思が伝わる


  思考は体の動きに現れる
相手を観察するときに、どういったところを観察すればよいか、サンプルを交えて解説している。一気に憶えることは難しいが、ちょっとずつ理解していけばコミュニケーション上手になるかもしれない。
 - 考えていること、心の動きは何かしらの形で体に現れる
 - 人によって現れ方は若干の違いがあるため、よく観察する
   (目の動き、瞳孔、口元、姿勢、声の大きさなど)
 - 表情は万国共通で伝わる
 - 相手の立場に立って真摯に考えることで、理解につながっていく


  相手に伝えるためには(説得するには)
これはプレゼンテーションをおこなったり、営業したりする場面を想像すると利用価値は高そうだ。ここまでが「聞く」ための技術であれば、「話す」ための技術を解説している。
 - 思い込みを植えつける
 - 確信を持って堂々と伝える
 - 批判されることなく、受け入れやすい言葉を選ぶ
 - 信憑性・現実味を持たせる


  言葉をつかった巧みな駆け引き
交渉術で利用できる、言葉の使い方をサンプルを交えて解説している。営業マンにとっては活用しどころが多そうだ。
 - 不安を呼び覚ますこと ⇒ 相手の興味を喚起する
 - 「誰にも言わないで」という内緒話 ⇒ 相手の興味を惹く
 - 「それとも?」という選択肢 ⇒ 相手の選択を誘導
 - 理由をつけて利益を暗示 ⇒ 相手の疑いを取り除く
 - 二つのオーダーの組み合わせ ⇒ 相手のOKを取りやすい(断られにくい)
 - 言葉の最初で名前を呼ぶ ⇒ 相手の注意をひきつける
 - 不信感につながる言葉(「本来」、「たぶん」、「でも」、「本当のことをいうと」、「誰か」、「いつも」)は使わない ⇒ 信頼を得やすい


  上手にコミュニケーションするために
コミュニケーションをうまくとるためのポイントが4つに整理されている。ここまでの内容を踏まえて実践すれば、実用度合いは高そうだ。
 - 相手の話し方・言葉遣いにあわせる
 - 自分のいいたことは、少し強めに伝える
 - アクセントを意識して、抑揚をつける
 - 口数少なく、必要なことだけを話す


  会話に困らなくするには
会話に困らなくするためのテクニックもいくつか紹介されている。初対面での会話などですぐに実践できる内容である。
 - 会話に困らないテーマを使う
    - 恋愛・セックス
    - お金
    - 仕事
    - 健康
    - 旅行
    - 知識・知恵の取得
    - 希望、要望、将来の夢
 - 相手の状況について触れる(服や予定など)

さらに高等なテクニックも紹介されている。ただし、こちらは事前の訓練や準備が必要そうだ。
 - 練りこんだ矛盾した文を使う(相手が都合よく理解してくれる)
 - 相手を褒める
 - 相手が関わる人生や仕事のイベントについての触れる
 - 「もし~だったら」という会話を振る


  自分の心を落ち着けさせるための方法
この本の最後には、自分自身をリラックスさせ、モチベーションを高め、不安を取り除くためのメンタル・トレーニングの方法も紹介されている。この部分は長谷部誠の「心を整える」をあわせて読んでもいいかもしれない。
 - リラックスした状態を作る
 - いすに座り、力を抜き、自分の体の感覚に集中する
 - 3回深呼吸し、最後に「わたしはリラックスしている」と心のなかで唱える
 - リラックスしたら、達成したい目標の視覚的なイメージを描く
    - その目標でよいか、自分に問いかける(やりたいことか、矛盾してないか、現実的か、妥協してないか、独りよがりではないか)
 - 自分の中の不安は、鏡をイメージ視し、その中に描き、壊すビジュアルをイメージする
 - 過去の失敗を思い出したときは、イメージの中でうまくいかせたことにする
 - 変な先入観、悪いイメージは以下を試す
    - そのイメージを絵のようにイメージして、遠くに押しやる
    - 上から眺めている状態をイメージする
    - 不快な要素を全部取り払ってみる    




かなり凝縮されている内容であり、日常的なコミュニケーションですぐに活用できる要素が多い。ただし、いずれも一朝一夕で身につくものではないので、まずは試して継続することが必要だ。

この本には、もし何かを始めようとするなら「72時間以内」に始めないと、始められないとあった。また、別の本には「20日間続ければ習慣になる」ともあった。まずは今日から、少しずつ実践し、3週間ぐらい継続して、自分のスキルとしたいと思う。