2012年1月21日土曜日

IT分野のリーディング・カンパニーと2012年のトレンドの関係を考える


IT分野で大きな影響を与える、Google、IBM、Microsoft、Apple、Intel、Facebook、Amazonについて、2012年のトレンドをふまえて、今年の各社の動きをちょっとだけ掘り下げて整理してみました。概要は「ITをリードするGoogle、IBM、Microsoftなどが決算発表 2012年のトレンドにも影響しそう」を参照してください。


  フロントエンドで全方位的に固めるGoogle
すでに2011年時点で200を越えるサービスを提供しているGoogleは、フロントエンド=わたしたちユーザの目に見える部分を全方位的に押さえてきています。。戦略の基本テーマは、ソーシャル・モバイル・ローカルの3つとしています。ソーシャルはGoogle+で、モバイルはAndoroidで展開していくことになるでしょう。ローカルについては「Googleローカルショッピング」を開始しており、今後サービスが拡大していきそうです。

収益をみると、Apple・IBM・Microsoftには2011年時点では及んでいませんが、利益率が31%もあり、そのほとんどを広告収入によるものです。つまり、かなり多くのサービスをフリー=無料で提供しているのです。この点を考えれば、ビジネス・社会生活全般に大きな影響を与えるプレイヤーであることは間違いありません。

もちろん、特定領域に特化したサービスと比べればサービス面に不満が出てきたり、Webベースでのサービスを中心でやってきているためO2O(Online To Ofline:デジタルとリアルを融合させるサービス)の部分は弱いなど、万能ではないようです。


  社会基盤の側面から全方位的アプローチのIBM
老舗のIBMも政治・経済・生活・テクノロジー全ての分野に影響してきます。リチウム空気電池や世界最小の記憶装置、ビッグデータの解析といった基礎研究ももちろんですが、注目はスマートプラネット構想。スマートシティを世界全体でやろう、というIBMだからこそ打ち上げられる構想を展開しています。このため、テクノロジーだけでなく、経済や社会生活、ひいて行政部分にも影響してくるわけです。一般消費者向けのサービスが少ないので、あまりその動きが目立たないようなイメージではありますが。


  Windows8提供でデバイスを中心に存在感を増したいMicrosoft
Microsoftは、WindowsサーバーやXbox、Windows OS、Office、Bingなど多数サービスを展開していますが、いまいち他のビッグカンパニーに比べると優位性を発揮しきれていないといった印象。これはやはりAndoridやiOSに押され、エンドユーザが離れてしまったことが要因だと考えています。しかし、今年はWindows8の提供に伴い、タブレットやスマートフォン、ウルトラブックといった新しいデバイスにもWindowsが広がることが予想されるので、デバイス分野を中心に存在感を増してくるのではないでしょうか。


  一般消費者の価値観にも影響を与えるApple
Appleはやはり、iPhone、iPadの提供により、ユーザ・デバイスを通じて私たちの価値観に影響を与える大きな存在といえそうです。売上げ規模で言えばすでにIBMを超えていますが、提供サービスは基本的に一般消費者をターゲットにしていることは変わりません。電子書籍市場にも参入することで、さらに私たちの生活を変えていきそうです。ちなみにiPad3は今年3月ごろの発売とのうわさ、またもや大きな反響を呼びそうです。

また、今年はスティーブ・ジョブスが亡くなったことによる影響をどこまでおさえることができるか、スティーブ・ジョブスがいなくてもAppleは成長し続けるのか、といったあたりが試される一年になりそうです。とはいえ、生前にスティーブ・ジョブスが関わったプロジェクトの範疇なので、将来に向けて新しい構想をどこまで打ち出していけるか、というところに注目ですね。


  ユーザデバイスの発展を裏で支えるIntel
ユーザデバイスの高度・多様化のトレンドでは、その心臓部であるCPUは欠かせません。また、今年はウルトラブックがかなり普及する見込みであり、メーカー各社もCES2012で数多く発表しています。そしてこのウルトラブックを提唱しているのがIntelなわけですから、今年はテクノロジー分野に貢献しながら、安定的に成長しそうですね。


  クラウドの基盤としてポジションを確立するAmazon
Amazonの提供するPaaS(Platform as a service)は、クラウドの基盤としての地位を確立してきています。利益がマイナスになってはいますが、その分PaaSの基盤強化のために投資をしているわけです。サーバだけでなく、関連するサービスのクラウド提供もかなり増やしていますし、無料サービスも拡大しており、よりクラウドを身近にしてくれる存在となっていきそうです。


  ソーシャルを牽引していくFacebook
Facebookはソーシャルという側面から、広く社会に影響を与えそうです。Open Graphのパートナーも60社に増やし、ソーシャルをベースとしたサービスは今後もFacebookから多数生まれてくることになるでしょう。ちなみにFacebookについては、2011年の利益が40億ドル程度あったといわれており、IPOした場合は100億ドル程度調達する見込みです。



巨人たちの競争が今年どうなるのかは、ビジネスという側面でも、生活という側面でも目が離せなそうです。




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