「ビッグデータ時代のオープンイノベーションの可能性」を発表した際に、「今後、企業の戦略はどうなっていくのか?」という質問を頂きました。
ビッグデータのトレンドの中でイノベーションを起こすための鍵は”オープン”が握っています。膨大な情報量の中でビジネスを展開するには、もはや一社の力だけでは困難を極めます。多くの協力が必要となります。企業の成長を考えた場合、企業は情報を秘匿するのではなく、オープンにすること=オープン戦略をとることが求められてくるのです。
オープン戦略にシフトするのは数年内、5年以内には主要企業の戦略に
ビッグデータのトレンドが進む中で、企業の戦略がオープンにシフトするのは早ければ2~3年(2014年ごろ)から顕著になっていくと予想しています。すでにGoogleやFacebookなど世界のビジネスに影響を与える企業が展開していることががその理由です。
そして5年以内には主要企業がオープンを重要な戦略とし、10年内には一般的な戦略となってきます。
全てをオープンにするわけではなく、コントロールすることが必要
オープン戦略を展開するに当たり、注意すべきは“どこまでオープンにするか”です。
すべてをオープンにすれば、大きな損害につながる可能性があるためです。個人情報や特許、経営戦略など重要な機密情報はしっかりと守らなければいけません。実際、オープンのイメージが強いGoogleもサーチエンジンのコアになる部分は、Google社内でもごく一部の人しか知らないというのですから。
受動的ではなく、主体的にオープン戦略をとるべき
オープン戦略を受動的にとってしまう、つまり周囲に流されてオープンにしてしまうことは非常に危険です。いいように周りに利用され、大事な自社の資産(情報だけでなく、場合によってはヒト・モノ・カネも)を奪われてしまう可能性があります。かといってクローズな状態では企業成長はもはやありません。
残された選択肢は“主体的にオープンにする”ことです。つまり、自らオープンにし、かつ主導権を握ることが必要なのです。いわゆるプラットフォーム戦略です。
主導権を握れるポジションを目指す
プラットフォーム戦略というと、どうしてもAppleやGoogleのようなビッグカンパニーをイメージしてしまいます。そしてそれら企業への対抗策を考えてしまいがちです。しかし、真っ向勝負を挑んで勝つことは非常に難しいのが実情です。
では、どうするか。自らが主導権を握れるポジションを見つけ出し、確実に勝てるモデルを作ることが必要になるのです。新しいプラットフォームを作って市場を分ける、または相手のプラットフォームで影響力のある存在になることが必要なのです。つまり、プラットフォームを前提としたランチェスター戦略をとることが求められるわけです。
オープン戦略の中で企業は二極化へ
主体的にオープン戦略をとり、プラットフォーム戦略×ランチェスター戦略をとれる企業は今後も成長していきます。しかしながら、これには大きな戦略シフトが必要となり、対応が遅れる企業もでてきます。特に保守的な企業は後者の状況に追い込まれることになります。
つまり、オープン戦略をとることでリーディングカンパニーになる企業と、搾取され衰退する企業に二極化してくるのです。