2012年1月28日土曜日

食べログヤラセ判定サイトが証明した、アナリティクスへのニーズ それは確実に存在する

2012年のお正月早々に世間を騒がせた「食べログ」のやらせ業者の問題。この問題は、インターネット上の口コミレビューが抱える不確実性と、アナリティクスに対するニーズの存在を知らしめるものとなりました。

食べログ / kaidouminato

  「食べログ」のやらせ業者の問題とは
食べログは、人気ランキングや口コミ情報を参考に飲食店を
検索できるグルメサイト。ランキング上位やいい口コミを書いてもらっている店ほど、ユーザに検索されやすくなり、集客の可能性が高くなります。ここにやらせ業者(食べログを運営するカカクコムとは関係ない)が目をつけ、「ランキングや口コミの内容を操作する」として、1件当たり10万円ほどで飲食店側に話を持ちかけていたわけです。

操作された情報が入ってくれば、当然ランキングや口コミの情報は信頼度が下がります。それはすなわち、「食べログ」のサービス自体の信頼度を低下させることにつながります。このためカカクコムはやらせ業者39社を特定し、食べログサイトからの排除、今後も引き続き不正が続く場合は法的措置も行うと発表し、話題となっていました。


  避けられない口コミの不確実性
かねてより口コミには不正な情報が混ざりこむリスクがあることを指摘されていました。その理由としては
 ・インターネット上の口コミサイトへの投稿は誰でもできる
 ・やらせをやること自体に法的な規制はない
 ・匿名や偽名での投稿も可能であり、投稿者を特定しにくい
といった点があげられます。要するに、何かしらの意図を持って情報を流し込むことは簡単なわけです。今回の今回の食べログのやらせ問題は、口コミに不正な情報が混入していることを実証する結果となりました。

ちなみにこのように口コミの情報の中に、商品やサービスなどの広告的な情報を混ぜ込むことをステルス・マーケティングといいます。最近ネット上で流行語になってきている“ステマ”です。アメリカでは法律で規制されており、広告であることを明示することが必須条件となっていますが、日本では特に規制はありません。

なお、このやらせやステマのような手法は最近始まったことではなく、昔から伝統的に使われていた手法です。お店の行列やイベント会場などでよく見かける“サクラ”も、やらせやステマとなんら変わりません。来場客や利用客数の発表の値を操作したり、活気があるように見える写真を使ったりするのも同じです。たまたま、ここ最近はインターネットの口コミサイトで話題になっているだけで、珍しいものではないわけですね。


  確実に存在するアナリティクスへのニーズ
今回の「食べログ」のやらせ業者の問題が発生したことで、注目を集めたサイトがありました。それが「ステログ」です。このサイトでは食べログの口コミ情報を店舗ごとに分析し、以下の条件の場合は“やらせの可能性がある”と判定してくれます。
 ・レビュー投稿数が16件以上で
 ・高評価した人が6人以上の店舗を対象に
 ・4.0~5.0といった高評価をつけた人のうち
 ・過去にレビューした数が少ない人の割合が60%以上の場合
ただし、サイトにも“あてにしないでください”とあるとおり、あくまでも“やらせの可能性”を示すのみの仕組みとなっています。つまりやらせを完全に特定する仕組みというわけではなく、最終的にはユーザの判断に任されるわけです。

この「ステログ」もまた、アナリティクスのひとつのカタチです。非常にシンプルなサイトではありますが、その話題性には目を見張るものがあります。問題が発覚する以前、2011年12月17日のオープン時点でアクセス数は1日で60万PV。問題発覚後はメディアでも取上げられて、さらに話題になっています。

この「ステログ」への注目度を踏まえると、口コミのように膨大な情報の中に不確実な情報が混在している場合にアナリティクスのニーズが高くなる、といえるのではないでしょうか。もちろん、アナリティクスの結果は絶対ではありませんが、ひとつの判断の指針として利用したい、というニーズが確実に存在しているのです。


  まとめ:アナリティクスは情報の信頼性を補完する(ただし、最終判断は自己責任)
口コミはある程度の信頼性を得ていましたが、不確実な情報も含んでいる可能性は否定できません。その不確実性を減らし、より確実なものにするための手段としての求められるものがアナリティクスなのです。「なんとなく」決めていたものに、より確からしい根拠を与えることがアナリティクス・サービスに求められているわけですね。

ただし、アナリティクスも完全ではありません。あくまでもコンピュータのデータ処理によって可能性を示す仕組みであり、結果を完全に保証することはできないのです。つまり、最終的にはユーザの自己責任による判断が必要であることは忘れてはいけないのです。データだけを見ていては、答えが見つからないことも多いわけですから。


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