値上げ理由は燃料費“など等”の負担増のため ← ちゃんと説明して貰いたい
・原子力発電所の停止の長期化“など”
・これにより、火力発電所の稼働量UP”など”を対応
・その結果、燃料費“等”の負担が増えているため
としています。原発事故の賠償金や原発の廃炉費用、設備投資の費用は含まれていない、とのことです。
しかし、170文字程度の一文で”など””など””等”と繰り返されており、説明に具体性が欠けているので釈然としませんね。せめて「値上げの対応策として経営合理化をやっている」というのであれば、経営の合理化として何をやっているのかぐらいは説明して欲しいです。例えば、これだけ経営が苦しいといっている中で、役員報酬やボーナスを出している理由とか。役員報酬やボーナスは業績に連動して支払われるはずなので、赤字ならカットなんですけどね。
値上げ幅は法人13.4%~18.1%、家庭向けは5~15%
法人向けのモデルケースでは中小規模スーパー・事務所は13.4%、百貨店や大規模事務所では18.1%の値上がり。家庭用も5~15%は値上げの予定。一応、経営合理化によって吸収できなかった部分を値上げに適用する、ということになってます。法人向けの場合は1Kwあたりでは以下の計算で値上がりするとのこと。ただし、具体的に燃料費が何%あがり、経営合理化で何%効率化した結果なのかはプレスリリース資料からではわかりませんでした。
燃料費等の負担増 : +3.22円 / 1kWh
経営効率化によるコストダウン : -0.71円 / 1kWh
加算額 : +2.51円 / 1kWh
新制度が導入されれば、さらなる値上げの可能性は高い
経済産業省は電気料金の決定について、新しい制度も検討しているとのこと。今までは1年単位で電気料金の価格を設定し、次の価格改定までの間は為替や原油取引価格の変動による値上がり分しか反映できなかったそうです。この新制度では、為替変動などと同様に、石油・石炭・天然ガスなどの火力発電用燃料の使用料が増えた場合も、その分を電気料金に柔軟に反映させることが可能になります。
以下のような現在の状況を踏まえると、新制度が導入されれば、“電気事業の継続のため”という名目で、電気料金がさらに値上がりする可能性はかなり高くなります。
・原発の稼働率はさらに下がるため、火力発電への依存度はさらにあがる(1月19日付で東京電力は、川崎火力発電所の増設も決めています。)
・イラン情勢によっては原油輸入価格も値上がする可能性あり
・新興国の発展により、国際的な燃料の国債取引価格の高騰も予想される
・東京電力は賠償金の支払いもある
経営や生活を圧迫、中小の製造工場は死活問題
電気はインフラである以上、企業の経営でも、日常の生活でも使うわけです。というよりも、現代の生活を考えれば、使わざるを得ません。特に中小の製造工場は、電気をつかって機械を動かして、製品を作らなければ経営は立ち行きません。とはいえ、売上高・利益も大企業に比べれば小さいため、電気料金の値上げはダイレクトに経営を苦しくします。そしてこうした中小企業は、大企業にとってとても大事な部品を作っていたりします。連鎖的に経営が厳しくなる会社もでてくるでしょうし、当然働く人たちの生活も圧迫していきます。
長期的には電力に関わるイノベーションに注目
今すぐにこの電気の値上げに対して解決策を出すことは難しいでしょう。太陽光発電などのクリーンエネルギーを導入するにも設備投資が必要です。不満はあっても、値上げした料金を払って、今の仕組みの中で電気を使うしかありません。しかし、長期的に見れば、社会のインフラである電気に関わるイノベーションは必須ですし、議論も重ねていく必要があります。特に
・送電分離の議論
・スマート・シティ構想
・クリーンエネルギー開発
といったトピックはこの先のエネルギー事情に大きな影響を与えそうですね。
実際、具体的に以下のような技術開発も行われており、もはや机上の話ではなくっていますので。
・IBMのリチウム空気電池 : 電気自動車なら800キロ走行可能にする電池 2020年には量産化できる見込み
・物質・材料研究機構シリコン太陽電池 : 現在の太陽電池の発電量を100倍にした、新しい太陽電池の仕組み
関連するビジネスも今後増えていくでしょうし、電力に関わる社会構造も変わっていくことになるでしょう。というよりは、2011年の東日本大震災以降の動きを見る限り、変えていかなければいけなくなっていますから。
ソースURL)