鎖 / heniha
なお、現在主に行われている通信量抑制の対策は、
・短期的 : データ通信量制限
・中期的 : 料金体系修正
・長期的 : 端末からのデータ通信最適化
の3つが大きくはあります。それぞれ整理していくと、なかなか情報量が多いため、3回に分けて掲載します。
データ通信量制限 ⇒ スマートフォン登場前から携帯キャリア各社で実施済み
データ通信量制限は基準値や対象期間は携帯キャリアによって異なりますが、各社ともにすでに実施しています。いずれも基準値に達した場合に、通信速度が遅くなるような仕組みとなっています。なお、マートフォンはフィーチャフォンの24倍ものデータ通信量があるため、ソフトバンクではフィーチャフォンの基準値は別に設けています。(下表はスマートフォンの基準値、フィーチャフォンは300MBまで)
データ通信量制限の対象ユーザ数は? ⇒ 携帯電話ユーザの1%、130万ユーザ
こうしたデータ通信制限の対象となるユーザは全体の“ごく一部”といわれています。ニールセンが2011年6月に発表したスマートフォン利用動向の資料に基づけば、一番厳しいソフトバンクの通信量制限(月間1000万パケット)の対象となるのはスマートフォンユーザの10%(下図の90thpersent ileより右側のゾーン) 。
出典)nielsen wire
これに
・日本の携帯電話・PHS契約数1億3000万台 (2012年1月TCA発表資料より)
・日本における携帯電話普及率92.9% (2011年内閣府消費動向調査より)
・携帯電話市場におけるスマートフォンのシェア11% (2011年12月ComScore発表資料、および2012年1月TCA発表資料より計算)
といった数字を踏まえて考えると、日本国内で通信量制限対象になり得るユーザは130万ユーザぐらいと推測できます。これは日本国内の携帯電話ユーザのわずか1%程度に過ぎません。
つまり、数字だけをみればたった1%のユーザのデータ通信量を制限できれば、アクセスが集中して通信障害が起きることはないのです。しかし、現実をみると通信障害が起きています。
1%のユーザのデータ通信量制限は効果があるのか ⇒ そもそもの考え方を見直す必要があるかもしれない
ここで考えられることとしては、通信量制限の考え方、つまり基準値と対象期間が実態にあっていない、ということがあげられます。結局は一時的な大量のアクセスが、特定の基地局に集中することで通信障害が発生しているわけです。つまり
・人 : データ通信を大量に行うユーザを制限する
・エリア : データ通信が大量に発生しているエリア単位で制限する(メール、通話だけに制限など)
・時間帯 : 混雑する時間帯のデータ通信を制限する(メール、通話だけに制限など)
という複合的な制限を行わなければ十分な効果を得ることは難しいのかもしれません。
ただし、データ通信量の制限はユーザ利便性を大きく低下させます。特に日本人の場合、スマートフォンユーザの95%はインターネット閲覧を行なうなど、データ通信を利用する機会がとても多いのです。
・人 : データ通信を大量に行うユーザを制限する
・エリア : データ通信が大量に発生しているエリア単位で制限する(メール、通話だけに制限など)
・時間帯 : 混雑する時間帯のデータ通信を制限する(メール、通話だけに制限など)
という複合的な制限を行わなければ十分な効果を得ることは難しいのかもしれません。
ただし、データ通信量の制限はユーザ利便性を大きく低下させます。特に日本人の場合、スマートフォンユーザの95%はインターネット閲覧を行なうなど、データ通信を利用する機会がとても多いのです。
出典) CIAJ 2011年度 携帯電話の利用実態調査より
データ通信量を制限して、インターネットが閲覧できなくなれば、ユーザの不満は一気に高まります。暫定的な処置として通信量制限は必要ではありますが、根本的にはインフラ面での改善が求められます。
関連URL)