2012年2月16日木曜日

増大するデータ通信量 従量課金への料金体系修正によるデータ通信量抑制にはユーザの壁、実現は早くても2013年ごろ?

増大するデータ通信量に対する携帯キャリアの対策。通信量抑制策の2つ目、料金体系修正についてその有効性を整理していきます。

Money Bankroll Girls February 08, 201114 / stevendepolo



なお、現在主に行われている通信量抑制の対策は、
短期的 : データ通信量制限
・中期的 : 料金体系修正
・長期的 : 端末からのデータ通信最適化
の3つが大きくはあります。それぞれ整理していくと、なかなか情報量が多いため、3回に分けて掲載しています。



  料金体系修正 ⇒ アメリカなどではすでに定額制廃止へ

料金体系については、すでにアメリカなどではパケット定額制を廃止して従量課金制に移行しています。これはもしかしたらヘビーユーザーに対し、通信量制限をかけるよりも効果的かもしれません。


  従量課金ではスマートフォンが利用しづらい? ⇒ 大半のユーザは問題なし
2012年1月時点でのAT&Tの料金モデルを例にとって見てみると、
 ・月300MBまで : 20ドル(超過した場合は300MBごとに20ドル)
 ・月3GBまで : 30ドル(超過した場合は1GBごとに10ドル)
 ・月5GBまで : 50ドル(超過した場合は1GBごとに10ドル)
という設定になっています。

ソフトバンクの通信量制限対象ユーザの条件(1ヶ月で1000万パケット=1220MBまで)を踏まえて考えれば、ほとんどのユーザが月2GBまでのプランで超過料金も払うことなく利用できます

一方、ヘビーユーザ(日本の携帯ユーザの1%に当たるユーザ)がそのデータ通信量に応じて、超過料金も含めて高い利用料を払うことになります。 否応なしに多くのヘビーユーザはデータ通信量を気にすることになり、結果としてデータ通信量を抑制につながります。また、公衆WiFiなどデータオフロードの利用促進にもつながるでしょう。


  従量課金制の問題は? ⇒ ユーザ理解の壁が高い
ただし、いくつか問題があります。まず、データ通信量はライトユーザも含め全体的に底上げされてきていることがあげられます。ニールセンの発表によると、2010年第1Qから2011年第1Qまでの間で、スマートフォンのデータ通信量は89%増加(230MB→435MB)しているのです。
現時時点では大半のユーザが3GBのプランがあれば事足りるかもしれません。しかし、スマートフォンが普及し、取り扱うコンテンツがさらにリッチになり、利用形態が多様化していけば、データ通信量は必然的に増加します。1MBあたりのデータ通信量も低下してきているとはいえ、データ通信量の増加スピードには追いついていません。極端な話ではありますが、将来ほとんどのユーザが超過料金を払わないと利用できない、といった事態にもなりかねないのです。

また、パケット定額制が浸透しているためユーザからの反発が起きる可能性が高い、という点も問題になります。いくら2GBのプランでほとんどの場合問題ない、といっても従量課金という言葉のイメージから「今までよりも料金が値上がりするのではないか」とユーザが不安視する可能性は十分にあります。その状態で無理に料金体系を変更すれば、ユーザが離れていってしまう可能性もあります。

定額制から重量課金制へ料金体系を修正することは効果がありそうですが、ユーザ理解が得られる環境を作らない限り実現は難しそうです。インフラ面の対策と、適正な通信量制限を行ったうえで実施することになりそうです。2012年1月時点でもすでにNTTドコモのXiなど一部のサービスでは適用されていますが、本格的に利用されるのは第4世代携帯サービスの展開にあわせて2013年以降になるのではないでしょうか。


関連URL)