2012年2月14日火曜日

NTTドコモで多発する携帯の通信障害 半年強で6回・延べ900万人超に影響

2012年に入ってから相次いでいる携帯キャリアの通信障害。すでに私たちの生活必需品となっている携帯電話が通じないことには、不便を感じない、ということはないでしょう。ではなぜ、このような通信障害が起きているのでしょうか。まずは何が起きているのか、整理してみたいと思います。

携帯基地局 / gabuken


  最近の主な通信障害 ⇒ 主要携帯キャリア3社で毎月のように発生
東日本大震災以降の主だったネットワーク障害を表にまとめてみました。

 


大別すると
 ・自然災害による影響
 ・機器故障
 ・事件・事故
 ・アクセス集中
による通信障害が起きているようです。そしてNTTドコモ、KDDI au、ソフトバンクの3社でほぼ毎月のように発生しています。逆にイーモバイル、ウィルコムでは障害らしい障害は発生していません。これは扱っているサービスが異なる(携帯電話とPHS)、取り扱いすうが携帯キャリア3社より少ない、といったことが要因です。




  自然災害・機器故障の発生は必然 ⇒ バックアップシステムの強化が課題
2011年は台風や豪雨により停電や機器故障が引き起こされ、通信障害が発生していました。しかしながら、自然災害が発生し、何らかの障害が起きることは必然です。また、機器だけを見ても自然災害だけでなく、老朽化によって故障する可能性も十分あり得るわけです。自然災害・機器故障による通信障害については、発生する可能性を踏まえて、バックアップシステムを整備することが必要です。




  事件・事故には防止策が必要 ⇒ 企業統治の強化が必要
事件として発生した通信障害では、2011年5月のソフトバンクの通信障害が衝撃的でした。関西エリアで30時間にも及んで発生した通信障害。その原因は元委託先社員がデータ改ざんを行い、基地局を停波させるというものでした。また、火災などの事故が原因となるケースも発生しています。いずれも人為的な要因は多分に含まれます。通信障害を防ぐためには、物理的なインフラ面だけでなく、企業統治の問題も考える必要があるわけです。




  目立つアクセス集中による通信障害 ⇒ 直近最も重要な課題として対策が必要
通信障害の中で、やはり一番目立つのは、NTTドコモで発生したアクセス集中による通信障害です。2011年6月以降で大規模なものが6回も立て続けに発生しており、延べ
 ・2011年6月 サービス制御装置故障による障害 ⇒ 172万人に影響
 ・2011年8月 ドコモの通信設備の故障及びそれに伴うアクセス集中 ⇒ 400万人に影響
 ・2011年12月 アクセス集中に伴うSPモード不具合 ⇒ 1万人に影響
 ・2012年1月 spモードのサーバーの故障 ⇒ 20万人に影響
 ・2012年1月 アクセス集中によるパケット交換機のオーバーフロー ⇒ 252万人に影響
 ・2012年2月 パケット交換機の故障 ⇒ 80万人に影響
特に2011年12月20日に発生した障害では、通信障害に加え、個人情報の漏えいにつながる事故となっていました。こうした状態に対し、総務省も再発防止策を早急に講じるように指導をしています。


また、2011年6月のNTTドコモでの通信障害は、間接的にソフトバンクにも影響しました。これはMNP(Mobile Number Portability:ナンバーポータビリティ)の影響によるものです。NTTドコモからソフトバンクに乗り換えた場合、同じ電話番号を利用するためにはNTTドコモの一部システムを利用する必要があります。このため、NTTドコモで障害が起きれば、ナンバーポータビリティでソフトバンクに移ったユーザにも障害が起きるのです。


ここまで多発するアクセス集中による障害は、今後も発生する可能性が十分に考えられます。そしてその確立は自然災害や機器故障、事件・事故に比べればはるかに高くなっています。このため、アクセス集中の障害については、原因追求と根本的問題解決が早急に求められているのです。


では、どのようなものがアクセス集中の原因となっているのでしょうか。それは次のブログでまとめたいと思います。