2012年2月9日木曜日

知識創造に通じるFacebookの哲学「Done is better then parfect」、プロセス志向に通じる方法論「The Hacker Way」

FacebookのIPO申請にあたり、CEOのマイク・ザッカーバーグ氏は投資家に向けての書簡も合わせて発表しています。この書簡から“Facebokの目指すものが何であるか”、それを計るための“哲学”が見えてきます。

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  Facebookのコンセプト=ソーシャル
書簡はFacebookのコンセプトに触れるところから始まります。そのコンセプトとは
 「世界をよりオープンし、そしてつながったものにする」
というものです。そして
 「世界中の人びとが自分の知っていること、考えていること、行動などを自分の望む人たちと共有する環境を作る」
 「人びとに共有する力を与え社会を変えるための手助けをする」
としています。

また、ビジネスに対する考え方についても
 「もともと会社になるためにつくられたものではない」
 「収益を生み出すためのサービスではなく、よりよいサービスを提供するために収益を得る」
とも語っています。

Facebookは、
 ・ソーシャルという観点から
 ・自らの利益のためではなく
 ・社会に価値を提供するための存在
として自らを位置づけている、と受け取れます。

ちなみにもともとはザッカーバーグ氏がハーバード大学の学生のために作った交流サイトがFacebookの始まり。当時の思いを今も換わらず持っている、というメッセージにも今回発表された書簡にこめられているのでしょう。


  Facebookの価値観=「Done is better then parfect」
Facebookの社内には
 「Done is better then parfect(完璧にすることよりも、実現すること!)」
の文字が掲げられているとのこと。これは次の5つの価値観に支えられています。
 ・Focus on impact(影響力へのフォーカス) : 
    もっとも重要な問題に注力する
 ・Move fast(すばやい行動) : 
    現状を壊し、よりはやく・多く行動する
 ・Be bold(大胆になれ) : 
    リスクを恐れない(リスクをとらないことが最大のリスク)
 ・Be open(オープンであれ) : 
    あらゆる情報に可能な限りアクセス可能にすることが、一人ひとりの行動を促進する
 ・Build social value(社会価値の創造) :
    一人ひとりが社会に対する価値を創造することを目指す

行動しなければ何も変わりませんが、行動すれば何かが動き出します。オープンに知識を結びつければ、新しい知識が生まれます。この価値観は野中郁次郎氏の知識創造や賢慮型リーダー、オットー・シャーマー氏のU理論に通じるものがあります。Facebookが新しい価値を生み出すことに意識を置いていることがうかがえます。


  Facebookの方法論=「The Hacker Way」
優れたビジネスを展開している企業には概してビジネスの方法論が存在します。方法論とはコンセプトや価値観に基づいて定義される“基本的なビジネスの進め方”・“ビジネスにおける原理原則”であ、企業の戦略や戦術の前提として位置づけられます。この方法論を用いることで、すばやく戦略や戦術を策定し、アクションに移れるのです。

Facebookの方法論は「The Hacker Way」です。要点は
 ・すばやく開発し
 ・その限界をテストし
 ・継続的に改良する
の3点にまとめられます。「完璧なものなどない」「改良が不要なものなどない」という意識の元に、常に改善と発展のためのアクションを行う、ということです。非常にBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)に似た発想であり、多くのSierや情報システム部門の方々が学ぶべきことは少なくないでしょう。


  まとめ:Facebookが目指すのは、オープン・イノベーションの中核としての存在
Facebookeは“ソーシャル”をキーワードに、世界をオープンにつないでいこうとしています。そしてそこからイノベーションを引き出し、自らも起こそうとしているように見て取れます。まさに「オープン・イノベーション」そのものを、Facebookは実現しようとしているのではないでしょうか。

しかし、キレイごとだけではビジネスは語れません。清濁を併せ飲むことが必要となります。とくにGoogleとは激しい競争を今後展開していくことになるでしょう。しかし、だからこそこうした理念を貫き続けてほしいものです。10年後、20年後に、「Done is better then parfect」というメッセージを誰かから送りつけられないように。