2012年2月14日火曜日

NTTドコモのアクセス集中、原因はスマートフォンによるデータ通信量増加 ただしこれはNTTドコモだけの問題ではない


2011年6月以降2012年2月までの半年強で6回も発生したNTTドコモの通信障害。その直接的な原因はアクセス集中によるものです。ではなぜ、アクセス集中が起きたのでしょうか。その根本的な原因について整理してみます。

Xperia arc SO-01C_036 / TAKA@P.P.R.S



  アクセス集中の原因は? ⇒ スマートフォン普及によるデータ通信量増加に設備が追いつかないため
NTTドコモでこれほどまでにアクセス集中による障害がおきている背景には、スマートフォンの増加が挙げられます。ではなぜ、スマートフォンが増えるとアクセス集中につながるのでしょうか。

まず、単純な理由として、今までのフィーチャーフォンに比べて取り扱うコンテンツがリッチになっている、ということがあげれます。スマートフォンの登場によって、多くのユーザがYouTubeで動画を楽しみ、アプリをダウンロードし、写真をSNSに投稿し、音楽をストリーミングで楽しめるようになっているのです。それはつまり、1つの操作あたりで発生するデータ通信の絶対量が増えていることを意味します。

しかし、データ通信の絶対量が増えることは、当然NTTドコモも予測しています。だから基地局の増強も行ってきているわけです。そこで出てくるのがもうひとつの理由である、Skypeなどに代表される「コミュニケーション・アプリ」による通信回数の増加です。これらのアプリは起動していなくても3~5分に1回通信をしており、Android OS自体も28分に1回通信をしています。つまり、スマートフォンが登場したことで、データ通信の絶対数(回数)が増えているのです。

1回当たりのデータ量が増え、かつデータ通信の回数も増えることになれば、通信されるデータの量は倍々で膨らんでいきます。それは結果的に、基地局へのアクセスが集中する上体を作り、通信障害を発生させるのです。

なお、このあたりはNTTドコモの報道発表資料の中でも詳しく説明されています。


  データ通信量増加はNTTドコモだけの問題か? ⇒ ビッグデータ時代への社会的課題
データ通信量が増加し、アクセス集中することによって起きる通信障害は、NTTドコモだけが現状目立っています。しかし、これはauやソフトバンクなどで同様の事態が発生しない、ということではありません。NTTドコモはもっとも利用しているユーザ数が多く、その分データ通信量も多いために、早い段階で通信障害が発生したに過ぎません。今後スマートフォンが普及していけば、データ通信量増加に起因する、アクセス集中による通信障害は他の携帯キャリアでも間違いなく発生します。そして現在は認識していない、新たなデータ通信に関わる問題も発生してくることも十分に考えられるのです。

また、ビッグデータのトレンドを考えると、通信障害の問題は単に“携帯電話が使えないだけ”の問題ではなくなります。これからのビッグデータの時代では、スマートフォンだけでなく、IOT(モノのインターネット)によって得られた情報が企業のビジネスや私たちの生活に利用されていきます。このとき、通信障害が起きてしまったらどうなるでしょうか。下手をすれば社会の機能を停止させてしまうかもしれません

私たちのこれからの社会を考える上で、通信は非常に重要なインフラです。そして、データ通信量増加は避けて通ることはできません。。ビッグデータ時代に向けて、アクセス集中による通信障害のみならず、データ通信の問題をより抜本的に社会的に考える時期が来ているのです。


関連URL)
NTTドコモ 1月25日 通信障害についての報道発表