2012年2月13日月曜日

“ガチャ”でカードコンプに20万円、ソーシャル・ゲームが問われる倫理観


ソーシャル・ゲーム・バブルにあるこのごろ、ゲームの収益の肝はゲーム内課金となってきています。その中でも話題になっているのがカードゲームなどで採用されている“ガチャ”。しかし、この“ガチャ”は倫理的に問題がないのか、どうしても疑問符がつきます。ゲームのあり方を改めて考える時期に来ているのかもしれません。

おもちゃをがちゃがちゃするよ^^ (2011/12/2) / yto


  “ガチャ”とは? ⇒ ユーザに課金するためのソーシャル・ゲームの仕組み
“ガチャ”はソーシャル・ゲーム上でカードやアイテムがもらえる仕組みです。おもちゃコーナーにあるガチャガチャのような仕組みで、ランダムでカードやアイテムが出てくるようになっています。無料の場合もありますが、有料の“ガチャ”も少なくありません。

某ゲームでは1回300円、11回で3000円といった形で有料提供されています。もちろん、必ずしも有料の“ガチャ”をやる必要はありません。しかし、この“ガチャ”をやらないとなかなかアイテムやカードが手に入らなかったり、ゲームを先に進めるのが難しくなっていたりしており、ユーザが“ガチャ”をやりたくなる仕掛けが用意されているのです。


  “ガチャ”はどのくらいお金がかかる? ⇒ シミュレーターでは20万円強
仮にカードゲームで“ガチャ”を使い、欲しいカード8枚を集める場合、どのくらいかかるでしょうか。それをシミュレートしてくれるのが「カードコンプシミュレーター」です。試しに何度かやってみたところ、最小金額が7万円程度、最大で30万円程度かかりました。もちろん、シミュレーターであり、かつ具体的なゲームのシミュレーションをしているわけではなく(少なくともそういった情報は公開されていない)、極端な事例なわけですが、一つの目安となります。

実際にプレイするにしても、11回3000円の“ガチャ”を3回やれば9000円。PS3やWiiのゲームソフトなら買えてしまう値段です。しかもオンラインで、ボタン一つで買えてしまうのです。しかしながら、そこから得られるエンターテイメント性には疑問があります。個人的には、「もうちょっとでそろうから、やっちゃおうか」というユーザ心理を巧みにつき、中毒性を持たせることで、ユーザから“搾取”するための仕組み、という印象がどうしてもぬぐえません。


  ソーシャル・ゲームの収益形態とは
そもそもソーシャルゲームの収益形態はどのようなものがあるのでしょうか。それは大別すると、
 ・有料販売
 ・広告
 ・スポンサー収入
 ・ゲーム内課金
の4つに大別されます。

有料販売はiTune StoreやAndroid Marketをイメージすればわかりやすいでしょう。ダウンロードしたり、ゲームに参加する際に有料になっているゲームです。広告は、ゲーム内に広告を表示するパターンです。ブログに広告を出すのと同じイメージです。スポンサー収入は、企業タイアップとも言い換えることができます。企業からお金を貰い、その企業の戦略にあわせたゲーム・コンテンツを提供します。そしてゲーム内課金は、ゲームを進める上で必要となるアイテムなどを有料販売する仕組みです。

最近は有料販売のアプリでは収益をなかなか獲得しにくくなっているため、ゲーム自体は無料で配布し、広告・スポンサー・ゲーム内課金のいずれか、または組み合わせで収益を獲得しているケースが多いようです。“ガチャ”もこうした流れの中から生まれてきた、コンテンツ提供形態の一つなのです。


  まとめ:問われるゲームのあり方 ⇒ ユーザ視点でのエンターテイメント性の向上を
“ガチャ”はゲーム内課金の一つにあたります。決してそれ自体は悪いものではないでしょう。しかし、ユーザ心理を利用し、収益獲得を軸においたコンテンツ提供の方法には問題を感じるわけです。そこにエンターテイメント性はあるのか、ユーザとして果たしてそれでゲームが楽しくなるのか、見直すことが必要なのではないでしょうか。ゲームとは娯楽です。娯楽は、心の緊張を和らげ、豊かな気持ちにさせてくれるものではないのでしょうか。ソーシャル・ゲームの拡大で、改めてゲームのあり方が問われているのかもしれません。


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