2012年2月19日日曜日

Googleが買収戦略の対象を絞り込み ⇒ モバイル収集で手軽だけでない、本格的サービス提供へシフトする可能性

2012年2月14日付のイギリス・フィナンシャルタイムズ紙の報道により、Googleは買収戦略をごく少数の重点領域に絞り込むことが明らかになりました。これは一体どのような意味があるのでしょうか。

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  Googleが絞り込む領域 ⇒ モバイル領域に集中
Googleが今回絞り込むのはビデオや携帯電話など、 Googleの成長戦略上重要とされる領域です。具体的な対象領域は明らかになっていませんが、Googleの戦略(モバイル/ソーシャル/ローカルの展開)をあわせて考えると、おそらくはモバイル領域での買収に集中する可能性は高いでしょう。モバイルはモトローラの買収がすでに決定していますし、Appleとの競争に加え、今後Windows8も登場してきます。ソーシャル、ローカルへの展開も考えれば、まずは集中的に投資しておさえておきたいところでしょう。

なお、ソーシャルについては、「SNS(Google+)の強化に利用する予定はない」と企画開発担当責任者のデビッド・ローウィ氏が発言しているように、買収による強化は今のところ行わないようです。これは
 ・Facebookに対しての対抗力が必要である
 「Serch, plus your world」のように検索サービスとの連動性を高める必要がある
といった状況があり、Googleの武器として成熟させることが現状求められています。したがって、ローウィ氏の発言にあるとおり買収ではなく“Googleの中”、つまりGoogle自社での研究開発によって強化していくことになると考えられます。

ローカルについてはGoogleの戦略についてまとめた際にも触れましたが、直近は実験的な段階にあるため、集中した投資を行うことは考えにくいです。もちろん、モバイルと関連する領域での投資はありえますが。


  Googleが絞り込む意味 ⇒ “手軽”から”本格的”なサービスへの転換
Googleは今までサービスのジャンルの幅を広げ、「とりあえずGoogleがあればなんとかなる」という環境をユーザに提供してきました。ユーザにとっては非常に手軽に使えるサービス提供者だったのです。しかし、手軽なだけではいずれユーザに不満が出てきます。なぜなら、あれと使っているうちに、手軽なだけなサービスでは機能が不足してくるためです。そしてユーザはGoogleの手軽なサービスから、他の本格的なサービスへと移っていくことになります。これが今までのGoogleの弱点でした。

しかし、今回の買収方針の変更により状況が変わる可能性があります。領域を絞り込み、特定の分野について買収して機能拡充を行っていくことで、十分本格的に利用できるサービスを提供できるようになるらです。今回はモバイル関連の領域に絞り込むと考えられますが、将来的に(モバイル領域が落ち着いたら)他の領域でも同様に集中的な買収を展開するかもしれません。Googleとの付き合い方はより戦略的に考える必要がでてきそうです。


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