Facebookはソーシャル・コマースの場として非常に大きな可能性をもっています。すでにFacebookのOpen Graphを利用して連携しているショッピングサイトはありますが、まだまだ黎明期。今後サービスの拡充が予想されます。このとき、ユーザ・エクスペリエンスの追及は必要不可欠です。特に広告の出し方、そして利用までの手続きには注意が必要です。
広告 ⇒ ユーザ同士のコミュニケーションのきっかけになる“広告らしくな広告”を
まず、広告についてはナチュラルに情報提供できるものでなければいけません。Open Graphを組み合わせることで、ユーザの行動自体(サイトにアクセスする、サービスを利用するなど)がニュースフィードに自動的に表示され、広告のような効果を発揮していく能性はあります。しかし、広告は広告でユーザの興味を喚起する仕組みとして残っていきます。この広告が押し付けがましい広告ならばユーザが離れてしまいます。
とくに今後、モバイルは重要なアクセスツールになります。モバイル端末(スマートフォンや携帯電話など)から買い物をしたことがあるユーザは50%(IMJ Digital Marketing Data Book 2012より)にもいたります。したがって、Webだけでなくモバイルでの広告表示も十分に考慮していかなければいけません。
(IMJ Digital Marketing Data Book 2012より)
しかしながら、“いかにも”という広告はユーザが嫌う傾向が強くあります。とくにモバイルでは半数以上の53.6%が「広告はないほうがよい」、68.9%が「広告は役に立たない」と回答しています(インターネットコム・gooの定期モバイル調査より)。こうした広告に対するイメージを払拭するために、“広告らしくない広告”を作っていくことが必要でしょう。そしてこの“広告らしくない広告”をきっかけに、Open Graphを通じてユーザ同士が情報拡散していくような流れを作ることが必要になります。
手続き ⇒ シンプルに、徹底してわかりやすく
そしていざユーザが買い物をするとなったときに、もうひとつの注意点があります。それは手続きです。エクスペリアン社の調査によると、ECサイトでの手続き(セキュリティチェックや登録作業など)は4分以上かかると、ユーザが買い物を放棄する傾向が強くなっていきます。当然、セキュリティ上手続きは必要なのですが、これを簡略化しなければ機会損失につながっていくわけです。
ここでひとつ可能性として考えられるのが、Facebook Paymentです。FacebooKがあらかじめ用意して売る課金サービスを利用することで、ユーザの手続きを大幅に簡略化できる可能性があります。ただし、手数料として30%を徴収されるため、価格設定が難しくなるデメリットは否めませんが。
まとめ : ソーシャル・ユーザ・エクスペリエンスの追求が必要
今後、Facebookに限らずソーシャル・コマースを成功させるには、当然ソーシャル・メディアを活用することは最低限必要です。その上で、ユーザに対して最初にPRするところから商品を選んで貰い、決済し、他のユーザにPRしてもらうという一連の流れをいかに自然に提供するかが鍵となるわけです。つまり、ソーシャル・コマースで成果を得るには、ソーシャル・コマースのユーザ・エクスペリエンス(ユーザの体験)をより上質なものにできるよう追求していくことが必要なのです。