2012年2月1日水曜日

【ビッグデータ】ビッグデータ時代の人材のあり方は?企業はどういった人材を抱えるべきか? ⇒ ナレッジワーカーが必要、情報システム部門は変革を

「ビッグデータ時代のオープンイノベーションの可能性」を発表した際に、「ビッグデータによって、経済活動にはどのような影響があるか?」という質問を頂きました。

武道館で社員大会。九段下駅前は大行列。暑いー / yto

ビッグデータのトレンドの中でアナリティクス・サービスなど新しいサービスが次々に登場してきています。当然、そのサービスにあわせて人材のあり方も考え直す必要があります。企業としては、ビジネスの観点から新しいテクノロジーを理解し、業務に適用できるよな人材を確保することが競争力につながります。



  クラウドが推し進めるアウトソーシング
ビッグデータを推し進める要因の一つとして、クラウドテクノロジーの発展があります。クラウドを使えば、システム導入やサーバ保守はクラウドに任せることができます。内製化したシステムは競争力に直結する、ごく限られた用途のみに今後なっていきます。


また、クラウドソーシングを利用すれば、自社特有の分析が必要な場合を除き、アウトソーシングで対応できるようになります。たとえば、Webアクセス解析や基本的な統計データ解析などはアウトソーシングすることが一般的になるでしょう。




  餅は餅屋に、個別領域の専門家は外に頼るべき
今までの企業はクローズドな戦略をとることが多かったため、内製化することが少なくありませんでした。しかし、テクノロジーの発展がめまぐるしい現代、すべてを内製化することは困難です。ましてやビッグデータに対応するテクノロジーを自社で一からつくる、などということは現実味が欠片もありません。多くの専門家が長年研究した成果が実ってでてきているテクノロジーなのです。個別の専門分野のことは社外の専門家に頼ることが一般的かつ合理的になるでしょう。




  社内の求められるのは、企業としての成果を挙げるための専門家
とはいえ、すべてをアウトソーシングしたり、専門家に頼っては競争力はまったく得られません。自らの企業内にも専門家は必要です。それは、自社の成果をあげるための専門家です。業務のこと、顧客のこと、商品のことをよく理解し、価値を生み出すための専門化が必要となるのです。



  社内の人材はナレッジワーカーに転換が必要
企業の中には大きく以下の3種類の人材がいます。このうちナレッジワーカーが「企業としての成果を挙げるための専門家」であり、必要な人材です。
・マニュアルワーカー: 指示通りに言われたことをやるだけの作業者的人材
・スキルワーカー: 与えられた課題に対し、自らのスキルで対応する人材
・ナレッジワーカー: 組織の課題を見つけ、必要なことを考え、仕事を創りだす人材

今後マニュアルワーカーとスキルワーカーがアウトソーシングの対象となり、社内では整理対象となります。つまり、マニュアルワーカーとスキルワーカーの雇用を維持することを考えると、ナレッジワーカーに転換していくことが必要となってくるのです。



  具体的に転換が迫られている情報システム部門
情報システム部門は多くの場合、社内の要件を取りまとめて、システムベンダーの窓口になることが仕事でした。サーバの運用状況を確認し、トラブルが起きた場合にはベンダーに連絡をとって、ユーザにその状況を発信ことが主であり、個別の業務とは一線をおいていました。今まではITが特殊な技術であった、つまりITに関するスキルワーカーが必要であったため、こうした部署が存在していたわけです。

しかし、ビッグデータのトレンドの中でアウトソーシングも進み、かつIT自体が広く一般化してくると、現在情報システム部門が行っている業務は一般部署でも十分に対応できるようになります。高度なサービスは社外に頼ったほうが確実性が高くなります。つまり、今のままでは情報システム部門はその存在価値が薄れてしまうのです。



  経営とビジネスとシステムを繋ぐ人材が必要
日々進化するテクノロジーはビジネスに新しいチャンスをもたらします。この点を踏まえると、「企業としての成果を挙げるための専門家」として必要なのは、
 ・変化するITのトレンドを把握し、
 ・経営の方針を理解し、
 ・現場のビジネスに落としこめる
人材となってきます。

では、どのように人材を確保するか。その一つの可能性が情報システム部門です。情報システム部門をITのスキルワーカーの部署から、ITを理解したナレッジワーカーの部署に転換することができれば大きな企業の競争力となり得るのです。



  具体的な手法はBPM
情報システム部門をナレッジワーカー化させることは、単純にはいきません。今まで業務とはなれた場所にいたからです。しかし、少し離れた場所から業務全般に関わっているのも情報システム部門です。つまり情報システム部門は、業務全体の流れを整理し、客観的に問題点・改善点を見つけ、最適化させることができるポジションにいるのです。

そしてそのための手法としてはすでにBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)というものが存在します。今後、情報システム部門をナレッジワーカー化させるためにBPMの活用を検討していくことが必要になっていくでしょう。