翔泳社
発売日:2011-07-16
以下、要点と解釈の整理です。
マーケティング上のFacebookの位置づけ
FacebookはOne2One型マーケティングとして位置づけられ、顧客接点を持っていくためのマーケティング手段として位置づけられます。とくに潜在顧客の発掘と、既存顧客のファン化(定着化)に効果を発揮します。
なお、ソーシャルメディアは大別すると
・アーカイブ型ソーシャルグラフ : 築き上げられたユーザ同士の“関係性”が大事
・アーカイブ型インタレストグラフ : 蓄積された情報が大事
・フロー型ソーシャルグラフ : 関係性の広がりが大事
・フロー型インタレストグラフ : 情報の広がりが大事
の4つに分類され、Facebookはアーカイブ型ソーシャルグラフに位置づけられます。
Facebookのマーケティング利用目的
まず、以下の2点はよく陥りがちな誤りであり、注意が必要です。
・プラットフォーム利用(Facebookの利用)の目的化
・戦術の目的化(いいね!の獲得数など)
という、本質的なマーティン具目的を見失った、手段の目的化に注意しなければいけません。
そのうえで、Facebookのマーケティング利用の目的(ソーシャルメディア全般にいえることではありますが)
・ブランディング
・広報
・プロモーション
・サポート
の4点に集約されます。そのためのアプローチとして
①リサーチ : 顧客の情報や商品に対する意見の収集
②コミュニケーション : 顧客との接点を作り、企業メッセージを伝え広げる
③活性化 : 顧客の活動を活性化させ、影響力を高める
④支援 : 顧客の活動をサポートする
⑤販促 : ビジネスプロセスに組み込み、商品やサービスの提供につなげる
を順に行っていくことが必要になります。
また、そのアプローチは商品・サービスによって分かれてくる事になります。
・買回品・最寄品で機能によって選択される商品 : 食品、日用品など
⇒ 顧客へ高頻度にアプローチするるための戦術として利用
・高額品で機能によって選択される商品 : 保険、自動車など
⇒ 顧客との関係作りから、理解を得るための戦術として利用
・高額品で感性的に選択される商品 : ブランド品など
⇒ 顧客をファンにするためのイメージ戦術で利用
Facebookにおめるマーケティングツール
Facebookで利用できるマーケティングツールは具体的に以下の5つです。
・Facebookアプリ : 占いや○○診断、ゲームなど
・Facebook広告 : スポンサー広告、スポンサー記事など
・ソーシャルプラグイン : 他のサイトに仕込んだ、いいね!ボタンなど
・オープングラフAPI : Facebookと他のサイトを連携
・Facebookページ : コアになる情報発信ページ
Facebookによるマーケティング戦略の進め方
基本的にはマーケティングの基礎を踏襲し
・ゴール設定 : Facebookによるコミュニケーションで何を得るのか(いいね!を得て、何をするのか)
・コンテンツ定義 : どのような情報をFacebookから発信するのか
・運用体制定義 : どのような体制で、Facebookを運用するのか
・構築 ; Facebookページの開設と必要機能の整理
・運用 : Facebookの運用をPDCAサイクルにしたがってまわす
という5つのステップが必要となります。結局のところ、“Facebookで何がしたいか”がクリアでなければ、コンテンツも運用体制も決まらず、構築も運用も意味がないということです。目的を明確にする、という基本を忘れてはいけないわけです。
なお、最終的に運用で重要になるのがKPI/KGIです。運用業務の効率を把握するためのKPIと、目標の達成度合いを測るKGIを明確に定義する必要があります。実際に運用を始める前に明確に定義しなければいけません。
≪KPIの例≫
・リーチ指標 : ファン数、PV、UUなど
・エンゲージメント指標 ; いいね!やコメント、シェアの数
・話題性の指標 : ユーザの投稿やコメントの内容
≪KGIの例≫
・ブランド指標 : 認知度、純粋想起率/順位、ロイヤリティなど
・行動指標 : 来店数、商品動向など
・機能評価指標 : ユーザ満足度など
Facebookによるマーケティングを成功させるために
Facebookのマーケティングにより成果を得るには、PDCAの徹底が必要です。このときKPI/KGIに基づいて
・チャネルの検証 : 外部リンク、Facebook内の検索、Facebook内広告、ファンによるコメント
・コンテンツの検証 : 投稿内容、タイミングなど
を改善していくことが必要です。
なお、コンテンツについては
・画像の入った直感的な、わかりやすいイメージとなっている
・質問形式となっている
・質問は選択肢が用意されている
という3つのポイントを押さえていくことで、より多くのファンにリーチできる可能性が一般的にわかっています。
しかし、なによりも成功させるためには行動することが必要です。「Done is better then perfect」というFacebookの哲学の通りです。あれこれ試しながら、改善し、よりBetterにしていくという進め方を徹底する = BPM的な継続改善のアプローチを行うことが必要不可欠なのです。