2012年3月8日木曜日

プラチナバンド獲得で7.25“つながるソフトバンク”へ ⇒ 携帯キャリアの競争はユーザも巻き込んで一層激しく

900Mhz帯をソフトバンクがとったことで、ソフトバンクの通信環境は大きく改善されることになります。その分、投資負担もかかってくるわけですが。この影響を受けて、今後携帯キャリアの競争はどのように変わるのでしょうか。

White and Red / nakae


  変化する各社の競争戦略 ⇒ 磐石な携帯キャリアなし
今回のソフトバンクのプラチナバンド獲得により、十中八九携帯キャリア各社の戦略は大きく変わることになります。
まず、NTTドコモはかなりの苦境に立たされる可能性があります。その理由は
 ・通信環境に不安があること
 ・機種別では最大のユーザ数を誇るiPhoneを持っていないこと
大きなマイナス要因となるためです。他のキャリアへのユーザ流出を抑えることが最優先の課題であり、そのための通信環境の改善は必須命題となるでしょう。また、状況によってはいよいとiPhone導入の可能性もありえるのではないでしょうか。AmazonのKindle導入にもより積極的に動くことになるかもしれません。

auは少なくともCMは差し替えざるを得ないでしょう。“つながるiPhone"はもはやauだけのものではなくなってしまうからです。また、
 ・すでにWindows Phoneも導入していること
 ・スマートフォンのエンタープライズ利用(企業利用)が今後増えていくこと
といったあたりを踏まえると、ビジネスユーザーにフォーカスした事業展開という可能性も考えられます。KDDIの固定回線とセットにして企業向けのパッケージを展開することもありえるでしょう。

ソフトバンクはiPhoneを主軸に他のキャリアからのユーザ獲得が最優先事項となることが予想されます。まずは通信環境を理由にiPhoneに乗り換えてこなかったNTTドコモのユーザをターゲットに展開していくのでしょう。そしてauのユーザ数を超えることが当面の目標といったところでしょうか。ただし、iPhone頼みになる可能性が高いため、PlanBの用意、つまりAndroidやWindowsなどへの対応も強化していく必要があるかもしれません。また、通信環境だけでなく、ショップなども含めたサービス全体の向上も必要でしょう。クレームは少なくないので。こうした取り組みを通じて、プラチナバンドの基地局設置で投資する1.55兆円を回収することも、当然必要になります。

そして今回、900Mhz帯をソフトバンクと争ったイー・アクセスは、なにが何でも700Mhz帯は取りたいところ。700Mhz帯については3事業者に割り当てる予定であり、今のところNTTドコモ、au、イー・アクセスが申請する予定。おそらく700Mhz帯は取れるでしょう。そのうえで、データ通信分野に特化したサービスを拡充していくことになります。今までと同様、他の3社との住み分けの戦略を継続する、といったところでしょう。


  携帯キャリアの競争はここから激しくなる ⇒ 私たちも賢くならなければいけない
今回のプラチナバンド取得によりソフトバンクは通信環境で短期的に有利になります。しかしながら、それはソフトバンクが携帯キャリアとして優位に立つというわけではありません。むしろ、携帯キャリア各社の競争がさらに激化していくと考えたほうがよいでしょう。

また、日本は携帯キャリアが通信も、デバイスも、コンテンツ・サービスもすべて提供しています。長期的に見れば競争が激化することで、こうした携帯キャリアにすべて統合する形でのビジネスモデルに変化が起きてくるかもしれません。

もちろん、私たちユーザにとっては利用料金、利用環境も大きく変わっていきます。今後の携帯キャリアの動きに合わせて、どのキャリアの、どのサービスを、どれくらいつかうのか、といったことは十分に考えなければいけません。つまり、今後の変化に備えて私たち自身も賢くなる必要があるのです。