※2012年3月8日に開催されたセマンティックWebコンフォレンスのパネルディスカッションに出演した際の資料解説です。
ビックデータを手なづけ、変化する情報に対する価値観へ対応し、重要性を増す信頼を確保しながら、方向性を定めて、新たな視点から捉えたニーズにこたえる。これらの要件をすべてそろえて実現されるビジネスとは一体どのようなものでしょうか。そのようなビジネスは本当に実現可能なのでしょうか。実はすでに動き始めているものがあります。それはスマートシティです。
スマートシティは、日本語で定義するならば「復元力のある持続可能な最適化された社会」を実現するための取り組みです。エネルギーだけでなく、安心・安全、交通、医療、教育、行政、さらには金融、製造、流通、小売などのすべての社会システムの最適化を目指すものです。しかも、災害発生時もいちはやく都市機能が回復でき、かつ時代に合わせて最適であり続ける都市を実現します。つまり、都市そのものを生まれ変わらせる、という明確な「方向性」があるのです。
このスマートシティでは情報に対する価値観は高度化しています。複雑に絡み合う情報が「結合」し、「分析」されることはもとより、「直感」的にその情報を利用して、人びとに「意思」を示すものでなければいけません。そこに暮らす人びとを含め、複雑な社会システムの情報がすべてが連動して、初めて実現できるのです。当然、“ビッグデータ”がそこには存在します。したがって、LODやセマンティックは必要不可欠になります。
また、都市の社会システムを扱うわけですから、「信頼性」が確保されていないことには話は進みません。サービスは「本質的」な問題を解決可能であり、「最適」な形で提供されることは必須です。さらなる都市の発展を考えれば「創造性」も不可欠でしょう。もちろん、これらは「社会生活」の視点で築かれたサービスでなければいけません。
スマートシティの取り組みは世界中で行われています。日本でも横浜市、豊田氏、けいはんな学研都市、北九州市の取り組みは有名ですし、宮城県や長野県、富山県、新潟県など自治体ベースでの動きも活発になっています。このスマーターシティのコンセプトの元で、各分野で新たなサービスもたくさん登場してます。スマートメーターなどの電力管理の技術、カーシェアリングなどの交通サービスなどはすでに取り組みとして始まっています。
そしていずれは個々の都市で実現されたスマートシティの機能がつながり、さらに新しい価値を生み出すことも考えられます。IBMが打ち出しているスマータープラネットが実現されるのです。派生的に別の側面で、“ビッグデータ”を活用する新たなビジネスも生まれてくるでしょう。そのとき、LODやセマンティックはさらに必要不可欠な手段として位置づけられることになるのです。
【目次】