2012年3月31日土曜日

不信感を与え続ける既得権益に守られた企業 ⇒ 企業の説明責任は最低限のCSR


東京電力だけでなく、AIJもたたけばたたくほどほこりが出てきます。こちらも特権に守られてきた企業。最低限の企業の社会的責任とは何かを考えるべきなのかもしれません。

確定拠出年金 / isinoid

  ウソで塗り固めたAIJ ⇒ いいわけだらけの責任回避論
AIJの年金消失問題。東京電力に負けないくらい、こちらについても突っ込みどころは少なくありません。2012年3月27日に行われた衆議院財務金融委員会の参考人招致で、AIJ淺川社長は「最初からだますつもりは全くなかった」「ばくちをした覚えはない」と発言しています。その上で「損したまま返すわけにはいかなかった」「虚偽報告を止めたいと思ったが、できなかった」としています。結局、いいわけを並べたようにしか見えません。


  自らの事業の責任を軽視したAIJ ⇒ リスクを無視して拡大した問題
そもそも2000億円もの年金を消失させているAIJ。しかも中小企業の年金。AIJを利用していた中小企業は特別損失の計上を余儀なくされます。それは中小企業の経営状況を圧迫することになり、場合によっては倒産する可能性すらでてきます。

大きなリスクをはらんで運用していたはずの資金。その損失を隠し、水増しして運用利回りがいいように見せてくることは問題を間違いなくさらに大きくします。AIJもそのぐらいのことはわかっていたはず。なのに「だますつもりは全くなかった」などという言葉で片付けることはあまりにも無責任ではないでしょうか。


  素人と天下り社員による運用 ⇒ 見ていたのは顧客ではなく自分のための利益
しかもその運用を行っている役職員約2000人のうち88%は素人。天下りも目立っており、中小企業の年金資金を預かる十分な体制が取れていたともいえません。もちろん、そんな事実も公表されることは全くなかったわけです。そして社長は7000万円という高額年収。「虚偽報告を止めたいと思ったが、できなかった」のは、顧客のためを考えての話だとは到底思えません。自分たちの利権を守るため、それだけにウソで塗る固めているようにしか見えません。


  まとめ:企業の説明責任は最低限のCSR
結局のところ、東京電力もAIJにも大きく不足しているものは“説明責任を果たす”ということ。企業は社会の中で何かしらの機能を果たし、役に立つから存続できます。存続のためには、単独ではなく、周囲との係わり合いが必要です。従業員とその家族、取引先とその家族、株主などのステークホルダー。もちろんこうした人たちも守るべきでしょう。しかし、顧客が必ず居ること、そしてその周りに社会が広がっていることも忘れてはいけません。社会全体に対して関わりをもっているのです。自分たちの行動が、社会に影響を与えることを認識しなければいけません。そして、社会に対して明確な説明責任を果たすことが求められるのです。それは最低限のCSR:企業の社会的責任なのではないでしょうか。