2012年4月のIPOをひかえるFacebook。IPOに向けてか、積極的に収益化に向けた動きをはじめています。まずそのひとつの動きとしてあるのが、携帯電話向けの決済システムの導入です。
モバイルのポテンシャル ⇒ 月間2億のユーザ利用
明らかにPCのWebサイトとも、スマートフォントも切り分けられるモバイルWeb。このモバイルWebでのFacebookのアクティブユーザ(全世界)は2011年末現在で1日5700万、月間では約1億にもなります。
しかもこの数字はFacebookのスマートフォン・アプリからの利用だけであり、直接ブラウザから利用しているユーザ数はその倍である月間2億にもいたります。一人平均1円でも課金できれば、かなりの収益になることはいうまでもありません。
Facebookの狙いは薄く広くの課金
このモバイルWeb環境での決算の仕組みとして導入をもくろんでいるのが、モバイル事業者課金制度。フィーチャーフォンでこれまで採用されていた仕組みとほぼ同様の仕組みです。
日本ではKDDIやSoftbankと交渉をしており、実現されればFacebookの有料アプリの支払いが携帯料金にまとめられる形になります。このためクレジットカードを持たない人たちへも課金が可能になります。薄く広く、いろいろなところから課金して収益を得ることができる仕組みとなるわけです。
ちなみにKDDIやSoftbankは売上げの30%が手数料として入る仕組み。Facebookと組む通信事業者としても、ユーザから課金額を回収するだけで手数料が入るのでおいしい仕組みとなっています。
Open Graphの展開で収益力強化
FacebookとしてはOpen Graphを利用したアプリを増やしていくことで、有料アプリを増強。その提供チャネルとしてWebも活用していくことで、1人あたりの収益は小額であっても確実に収益を上げる仕組みを持つことになります。
ただし、Open Graphを提供するベンダーにとってこれがどれほどのうまみがあるかは疑問です。なぜなら、売上げの30%は事業者がとり、当然Facebookにも手数料を取られ、アプリ提供者の手元に残るのはおそらく30~40%程度。開発費用やプロモーション費用などを考えると、必ずしも収益性の高いビジネスとはいえないかもしれません。他のマーケティング活動などと組み合わせて利用したり、企業タイアップなど他のマネタイズ方法を考えて、アプリ提供を行うことになるのでしょう。