2012年3月9日金曜日

増え始めたナチュラル・ユーザ・インタフェース ⇒ "見えないICT”で魔法のような世界も遠くない?

PCやスマートフォンなどのユーザ・デバイス、使いこなすためにはその操作を覚えなければいけません。この操作がネックとなり、高齢者などITになれていない人たちにはPCやスマートフォンは敷居の高い存在でした。しかし、ナチュラル・ユーザ・インターフェスが増えてきたことで、この問題が解決される日が間もなくやってくるかもしれません。

360 Degree VR Image Viewer Controlled by Kinect / openexhibits


  ナチュラル・ユーザ・インタフェースとは ⇒ アナログ感覚でユーザ・デバイスを使える仕組み
ナチュラル・ユーザ・インタフェースとは、 簡単に言ってしまえば現実世界で人に接するように、紙と鉛筆でものを書くように、限りなくアナログに近い感覚でユーザ・デバイスを扱える仕組みです。

ちなみにユーザ・インタフェースは段階を追ってこれまで進化してきました。

・CUI(Character-based User Interface)
 文字入力によって操作する仕組みで、最も古典的なユーザ・インタフェースです。
 コマンドを入力して操作するのですが、素人にはかなりハードルが高い仕組みです。
 プログラマーが黒い画面でいろいろ操作している、あの仕組みです。

・GUI(Graphical User Interface)
 これまで最も一般的に使われてきたユーザ・インタフェースです。
 WindowsやMacなどのPCの画面であり、マウスでアイコンをクリックして操作する仕組みです。
 
・TUI(Tangible User Interface)
 スマートフォンやタブレットで広く採用されている、タッチパネル形式のユーザ・インタフェースです。
 このTUIが登場したことで、直感的にユーザデバイスが操作できるようになりました。

そして今後発展していくであろうユーザ・インタフェースが、ナチュラル・ユーザ・インタフェース(NUI:Natural User Interface)なのです。なお、さらにその先を見据えたBMI(Brain-machine Interface)というものもあります。脳から直接ユーザ・デバイスを操作するというものです。


  ナチュラル・ユーザ・インタフェースを採用し始めたユーザ・デバイス
ナチュラル・ユーザ・インタフェースを採用しているユーザ・デバイスも増え始めています。とくにスマートフォンではNTTドコモもサービスを発表したことから、今後一気に普及していく可能性があります。

・iPhone「Siri」
スマートフォンのナチュラル・ユーザ・インタフェースの代表格は、何と言ってもAppleのSiriでしょう。2011年10月に登場したiPhone4Sに搭載された、声で操作できる仕組みです。iPhone4Sを持っている方はホームボタンを長押しすると立ち上がります(設定からSiriを有効にする必要があります)。2012年3月現在は英語・ドイツ語・フランス語にのみ対応していますが、2012年中に日本語・中国語・韓国語・イタリア語・スペイン語にも対応する予定です。

・NTTドコモ(Android)「しゃべってコンシェルジェ」
NTTドコモが2012年3月1日から、同社のAndoroidスマートフォン向けに開始したサービスが「しゃべってコンシェルジェ」。Siriと同様に声でスマートフォンの操作が可能です。もちろん日本語対応。今後iコンシェルジェなどのサービスとも連携して、その内容も拡充していく予定です。

・Microsoft「Kinect」
Microsoftが展開するのは体自体をインターフェスにしてしまう「Kinect」。もともとXbox用のユーザ・インタフェースとして提供されていましたが、2012年2月よりWindows PC向けにも提供が開始されました。ちなみにWindows7にのみ対応。単純にPCを操作するだけでなく、PCを経由していろんなものを動かすことができる仕組みになります。


以下の動画はKinectで操作するスケートボードです。


ちなみにこちらはKinectをつかって勝手についてくるショッピングカート。売り場案内などもできるそうです。


  まとめ:ナチュラル・ユーザ・インタフェースで“見えないICT”へ
ナチュラル・ユーザ・インタフェースは限りなくアナログに近い感覚でユーザ・デバイスを操作することが可能です。20年くらい前から見れば、まさに魔法やSFの世界のようです。そして単純にユーザ・デバイスを操作するだけでなく、ユーザ・デバイスを介して別のものを操作することが可能にもなります。

そうなってくると、ユーザ・デバイスの操作を私たちが意識すること自体必要なくなってきます。本当に魔法のように、例えば、掃除機に「掃除しといて」と声をかけたら掃除をしてくれる、冷蔵庫に「カレーを作る材料を用意しておいて」と言えば冷蔵庫の中に足りない食材は自動的にネットスーパーに発注してくれる、そんな仕組みがでてくるかもしれません。ICTを使っているのに見えない、そんな世界は実現可能な領域にあるのです。