2012年3月8日木曜日

「ビジネスがセマンティックに求める未来」 問われる信頼性


※2012年3月8日に開催されたセマンティックWebコンフォレンスのパネルディスカッションに出演した際の資料解説です。


“ビッグデータ”をセマンティックとLODによって手なづけることで情報に対する価値観の変化が起きます。この変化に対応した商品やサービスを提供すれば、それだけでこの先成功するビジネスを実現できるのでしょうか。残念ながら価値観に対応するだけでは不十分です。なぜなら、価値観はあくまでもニーズの源泉でしかなく、ニーズを決めるには他の要素も必要だからです。価値観と同様に私たちの社会やビジネスに大きく影響し、ニーズに関わる他の要素も探らなければいけません。

その中で特に優先的に考えるべきものは信頼です。普段の生活を見返してみてください。どんなに自分の価値観にあった商品やサービスでも、信頼に足りる相手が提供し、納得のいく内容でなければ、その商品やサービスを利用しようとはしないはずです。提供すべき価値を見据えたのであれば、まず信頼を確保することが必要なのです。むしろ、信頼がないのであれば、どのような価値を提供しても意味がないといってもいいかもしれません。ビジネスに信頼は非常に重要な要素なのです。とくに膨大な情報に囲まれる今後、信頼の重要性はさらに増していきます。

ではその信頼はどうやって確保すればよいでしょうか。それには大きく3つの方法があります。それは「調べる」「聞く」「考える」の3つです。

「調べる」とは、しかるべき人がしかるべき手法で直接事実を確認することで信頼を得ていく、というものです。土地は測量士が測量器具を使って、ワインの品質はソムリエが自らの舌をつかって「調べる」ことで事実確認をするからこそ、多くの人びとからの信頼を得ているのです。

「聞く」というのは、その事実を第三者に保証してもらうことで信頼を得ていく、というものです。クレジットカードはその最たる例です。自分の経済的な信頼を、クレジット会社に保証してもらっているからこそ、商品やサービスを提供する店舗からの信頼を私たちは得ることができるのです。また、口コミにより“みんなが言っている”という事実で信頼を得ているケースも少なくありません。

この「調べる」と「聞く」はすでに起きている事実については信頼を確保することができます。しかしながら、新しく始めること、これから創り出すものについては十分に信頼を確保することはできません。そこで必要になるのが「考える」という方法です。すでに得ている事実情報を論理的に組み合わせる、または実際に何かを試して体験した結果から考察を重ねることで、信頼にたる情報としていくのです。新商品や新しいビジネスを立ち上げる際の計画書はその代表例でしょう。

この「調べる」、「聞く」、「考える」という3つの方法によって信頼を確保していくわけですが、ここでひとつ注意が必要です。それはいずれの方法も完全ではないということです。例えば「調べる」には時間とコストがかかるため、現実的な手段として採用できないこともあります。「聞く」という方法は、第三者からの情報に誤りが含まれない可能性は否定しきれません。そして「考える」ことによって得た結果は主観的になりやすく、他者に伝えることが難しくなるケースもありえます。つまり、信頼を確保するには「調べる」、「聞く」、「考える」の方法を状況に応じて組み合わせることが必要不可欠なのです。





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