SNS上でのプライバシーの管理をどうするか、SNSが普及していっている現在だれもが考えてもいいトピックです。その参考になりそうな統計情報を、アメリカの調査機関Pew Research Centerが2012年2月24日に発表しています。
SNSユーザの6割は“友達を削除”した経験アリ
・不必要なコメントを書いてしまった
・変なタグ付けしてしまった
・友達申請するつもり(承認するつもり)がないのにしてしまった
など、SNSを長くやっていれば経験したことがあるはず。中には炎上の真っ只中にいたことがある方もいるのではないでしょうか。
今回の調査ではこうした「あ、やってしまった」ということがほんとうによくあることであり、後で修正するケースが増えていることがよくわかります。なにかと心理的に避けたくなる“友達の削除”も63%ものユーザが経験しています。なお、グラフは左からそれぞれ、
・写真のタグを削除したことがある
・コメントを削除したことがある
・友達を削除したことがある
ユーザの割合を2009年と2011年で比較しています。
58%のユーザはプロフィールを公開制限
SNSではプロフィールはつきもの。このプロフィールには個人のバックグラウンドなどが掲載されている、まさに個人情報です。当然、個人情報なのでパブリックに全てを公開している人は少数で全体の20%。ソーシャル・グラフでつながる可能性の高い友達の友達が、むしろ一番少なく19%。一番多いのは友達までの公開に制限しているケースで58%となっています。また、全体的に女性のほうがプロフィールの公開制限を行う傾向が強くなっています。
なお、年代による差は若干ありますが、概ね全体の統計と同様の傾向を示しています。
やはりプロフィールは個人情報ですし、SNSでのつながりは現実世界よりもはるかに広がりコントロールが効かない部分があります。このため、不測の事態に備えて自分が関係(友達の申請や承認)に責任をもてる“友達まで”の範囲での公開にするケースが多いのでしょう。
48%のユーザにとって“SNSは難しい”、でも49%にとっては”難しくない”
こうしたSNSでのプロフィール管理(個人情報管理)に難しさを感じているユーザは全体の48%、このうち“ものすごく難しい”と感じているのは2%となっています。逆に49%は“難しくない”と答えています。この“難しくない”と考える割合は年代別に顕著に差が現れる傾向があり、
・18~29歳 : 57%
・30~49歳 : 48%
・50~64歳 : 41%
・65歳以上 ; 31%
となっています。SNSが難しいかどうかは、SNSに対する“慣れ”が大きく関係するのかもしれません。
しかしながら、SNSでトラブルを起こす傾向が強いのも若年層。SNSはサイバースペースの特殊なコミュニケーションではなく、日常的なリアルなコミュニケーションの延長です。未熟な知識や経験で、SNSに“慣れている”と過信して行動した結果、トラブルを起こしてしまっているのかもしれません。実際、自分が投稿したコンテンツについて後悔するユーザは全体の11%ですが、この後悔する割合は若年層のほうが高くなっています。
・18~29歳 : 15%
・30~49歳 : 11%
・50~64歳 : 4%
・65歳以上 ; 6%
まとめ:プライバシー情報の公開は慎重に
プロフィール情報の公開はもちろんのこと、SNSに投稿する情報についてもプライバシー情報として管理することが必要です。うまくコントロールする術、つまりソーシャル・リテラシーを普及させることは今後社会の課題なのかもしれません。
個人的な意見ではありますが、プロフィールについては不測の事態もあるので基本的には非公開、必要に応じて公開にするぐらいでいいのだと思います。不安に感じるぐらいなら、公開しないぐらいで十分です。そのほうが精神的には楽にSNSを利用できますから。
そのうえで、SNSへの投稿に注意を払えばよいのではないでしょうか。投稿するときに、“自分のプライバシーを危険にさらす可能性のある情報”が含まれるかどうかを今一度考えて投稿する習慣をつけることが必要です。また、思いついたことを垂れ流しでSNSに投稿しても、自分はプライベートをさらけ出すだけであり、それを読む友達にとって必ずしも楽しい情報というわけでもありません。その情報を投稿して自分は困らないか、自分の友達の誰が喜ぶか、この2点を考えるといいかもしれません。
とはいえ、“なんでもプライバシー”として非公開にしてはSNSの面白さは半減してします。利用しながら、プライバシーの安全とSNSの面白さの絶妙なバランスを見極めていくことが必要なのでしょう。
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