2012年3月13日火曜日

メディアごとに明確に分かれる評価 ⇒ 情報発信はメディアミックスによるコンテクスト提供へ

東日本大震災以降、変化があったのはメディアに対しての接触率だけではありません。メディアに対する評価も変わっています。そして、そこで流れている広告も。

なかよしテレビ / iandeth



  メディアへの評価は? ⇒ 高評価のNHKと新聞、存在感が薄れる雑誌
メディアの評価を見ると新聞とテレビ(NHK)が社会的に影響力の強いメディアとして認識されています。とくにNHKは公共放送ということから、信頼性の高いメディアとして評価を得ているというところでしょう。逆に雑誌には「イメージがわかない・評価できない」という項目が上位に入っています。雑誌はメディアとしての位置づけを見直すことが迫られているのかもしれません。

また、このランキング表には現れていませんが、新聞に高い評価が集まり、以下項目で調査対象のメディアのうち最高の評価を得ています。
 ・社会に対する影響力がある : 54.6%
 ・知的である : 52.4%
 ・社会の一員としてこのメディアに触れていることは大切だ : 50.1%
 ・地域に密着している : 47.8%
 ・教養を高めるのに役立つ : 47.6%


  広告への評価は? ⇒ 地域密着の新聞、手軽なテレビとラジオ、詳しい雑誌とWeb
広告に対する評価を見ていくと、メディア自体への評価と非常に密接した評価結果が出ています。「地域や地元の情報が多い」とあるように、新聞は地域密着のイメージ。これに対してテレビやラジオは“手軽”という言葉を連想させる評価が多くなっています。また、テレビは映像を使うことから印象に残るという観点での評価も高くなっています。雑誌、インターネット(PC/モバイル)は利用者が必要とする情報を詳しく提供している、という評価のようです。


この評価を言い換えれば
 ・テレビで消費者に印象付け
 ・テレビ or ラジオを使って消費者に記憶してもらい
 ・ラジオ or 新聞で情報の信頼を獲得し
 ・新聞 or 雑誌で情報の詳細を伝え
 ・雑誌 or インターネットで利用者が必要とする情報を確認して貰う
というメディアミックスに広告効果がある、とも受け取れます。


  まとめ:情報発信にはメディアミックスによる「コンテクスト提供」が必要
この調査から、メディアごとに求める情報に差があることが伺えます。別の言い方をすれば、同じ情報であってもメディアによって受け取り方が変わってしまうのです。これは一見、コンテンツビジネスの複雑性を表すように見えます。しかしながら、ここにコンテンツビジネスの可能性があります。

例えば、同じ地域紹介の映像コンテンツ。そのまま流せば「ふ~ん」で終わってしまいます。しかし。これをNHKのニュースで取り上げ、民法でバラエティにし、ラジオでリスナーのエピソードと交えて紹介し、新聞で歴史背景をふまえた記事を構え、雑誌で週末イベントの企画にし、Web上で関連情報とあわせて検索できるようにしたらどうでしょうか。たった一つの映像コンテンツが複数のメディア=メディアミックスによって活かされ、多くの価値を生み出していきます。インターネットTVやSNSなどの要素も加え、リアルなイベントに紐付ければ、可能性はさらに広がるでしょう。

メディア単体で考えてしまうと非常に複雑ではあります。しかしながら、こうしたメディアを俯瞰的に捉え、コンテンツを再活用することを念頭に置くと見える世界は違うのです。そして、必要なのは単純なコンテンツ提供ではなく、今後新たに登場するメディアやリアルなイベントも組み合わせた一連のストーリー・文脈=コンテクストの提供なのです。