2012年3月15日木曜日

あらためて考えるリスクマネジメント ⇒ 切り分けて、最悪の事態を想定し、アクションを


リスクマネジメントの要素を整理したら、今度は具体的にかんがえていかなければいけません。これはかなり大変な作業ですが、単純に危機回避だけではなく、ビジネスの改善につながることもあります。

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  リスクマネジメントの考え方 ⇒ 切り分けて最悪の事態に備えを
リスクマネジメントを考えていく際には、ハザード・ペリル・リスクの3つを何度も行ったりきたりしながら繰り返し考えて整理していきます。このとき、ハザード・ペリル・リスクを切り分けて、考えられる事態をできる限り想定することが必要です。なぜなら、ハザード・ペリル・リスクをひとまとめにすると、どれかの要素に引っ張られて、考慮すべきことを考慮しないで終わることがあるからです。

例えば、「宇宙人に攻撃」というハザードを想定したとします。その後に「会社のビルが破壊される」というペリル、「会社の全資産の消失する」というリスクを想定していったとしましょう。「宇宙人に攻撃」という想定は非常に突拍子もない想定です。しかしながら、「会社のビルが破壊される」、「会社の全資産の消失する」という部分だけを見れば、他の要因によってもたらされる可能性は十分あります。しかしながら、「宇宙人に攻撃」という突拍子もないハザードの想定があることで、ペリルとして、リスクとして考慮することを止めてしまうことがあるのです。

したがって、ハザード・ペリル・リスクそれぞれを切り分けて、それぞれに必要な対応策を以下のように整理していくことが必要なのです。そしてこのとき、考えられる最悪の事態を想定しておくことで、リスクマネジメントとしての品質を高めることが可能になります。無論、このリスクマネジメントを考える際に、目先の利益を優先することはあってはなりません。リスクの存在は、長期的に見れば必ず利益ではなく損失に結びつくのです。この点は東京電力への批判をうけて、教訓として受け止めなければいけないはずです。

・ハザードへの対応策 ⇒ 予防策
リスクの要因となるハザード自体の除去して予防を図っていきます。
原発事故であれば、非常用電源を地下防水施設に移動しておくことがあげられます。
そもそも原発を停止してしまうことも一策でしょう。
交通事故であれば、車のメンテナンスを定期的に行うことがあげられます。
 もちろん、全ては除去できません(自然災害は止められない)ので、その場合は発生するペリルを想定して回避策を用意することが必要になります。

・ペリルへの対応策 ⇒ 抑制策
事故であるペリルの発生を抑制できるようにします。
そもそも事故を発生しないようにできればそれがベスト。
事故発生を100%防げないのであれば、事故の規模を可能な限り押さえることが必要です。
原発事故であれば、メルトダウンと原子炉爆発の防止策全般です。
交通事故であれば、エアバックなどがあげられます。
しかし、それでも事故は発生します。
そのために、リスクからの復旧・回復策が必要です。

・リスクへの対応策 ⇒ 復旧・回復策
発生する具体的な損失(リスク)を最小化し、復旧・回復を図っていきます。
 最悪中の最悪が発生した場合に、どう対処すべきかを考えるのです。
原発事故であれば、広域・高濃度での放射能汚染対策となります。
交通事故であれば、ケガや死亡に対する保険などがあげられます。


  リスクマネジメントは考えただけでは意味がない ⇒ 情報公開と準備が必要
リスクマネジメントはどんなに検討しても、具体的な準備が行われなければ意味がありません。原発事故で非常用電源が津波によって水没する可能性については、震災の前から指摘されていました。しかしながらその備えはしていなかったため、原発事故を大きなものにしてしまった可能性は否めません。加えて、そうした指摘があったことは周知されていませんでした。周知されていれば、周辺住民はもしかしたら何かしらのアクションを起こせたかもしれません。

したがって、リスクマネジメントはその内容を関係者に十分に説明し、準備を行うことが必要不可欠なのです。ただし、このときはハザード・ペリル・リスクを一から十まで個別にばらばら説明しても伝わりません。そこで、誰もがイメージしやすい一連のシナリオが必要になります。発生し得る最悪のシナリオと、十分な対応策を共有を行い、具体的なアクションを起こしていくことで初めてリスクマネジメントに意味があるのです。