FacebookのIPOに備えた動きは単純なマネタイズ方法の拡大だけではありません。ユーザ・エクスペリエンス自体も改善し、広告クライアントとユーザがより深くコミュニケーションできる環境を作っていくようです。
FacebookページにTimeline導入 ⇒ ファンとのコミュニケーションの質を重視する環境へ
・Wellcomeページの廃止に
・管理者用パネルを刷新し、一元管理が可能に
・ユーザからFacebookページへメッセージを送信可能に
・ファンとなっているユーザのアクティビティが確認可能に
といった変更があります。
これにより、個人ページもFacebookページも同様の利用形態になります。ユーザとしては、個人に向けても、企業に向けても同じようなコミュニケーション方法を取れるようになる、つまりユーザ・エクスペリエンスに一貫性がでてくるわけです。
また、Wellcomeページが廃止されることによって、“「いいね!」を押さないと利用できないアプリ(または見えないページ)を提供する”という、Facebookページのファン獲得手段の効用がかなり下がることになります。
その分、Facebookページのファンとのコミュニケーションをサポートする機能は増えています。ユーザ・エクスペリエンスの一貫性も高まるため、よりナチュラルにファンにアプローチすることも可能になります。つまり、ファン獲得後のマーケティング活動をより充実したものにできるのです。
なぜコミュニケーションの質を重視するのか? ⇒ Facebookマーケティングの本質であるため
Facebookはユーザが利用している時間が2012年1月の平均で1ヶ月あたり7.5時間もあります(調査会社comScore 2012年2月発表)。Google+がわずか3.3分でしかないことを考えると非常に長いことがわかります。
このため、Facebookのマーケティングは、単純に広告を使って商品やサービスの存在をPRする以上のことが可能になります。
・商品やサービスについての意見をもらう
・何かあったときのサポートを提供する
・ファンを通じて間接的に他のユーザにプロモーションをかける
といったことが可能になるのです。
こうしたマーケティングを実施するにはFacebookページの「いいね!」を集めるだけでは不十分です。Facebookページのファンとなってもらった後に、厚いコミュニケーションができるかどうかにかかってくるのです。この点ふまえると、今回のFacebookページの変更は、Facebook上でのマーケティングの本質を捉えたものといっても過言ではないでしょう。
Facebookのうまみは? ⇒ ファン獲得のためにFacebook広告利用増
ファンとのコミュニケーションの質を重視する流れができるとはいえ、ファンの獲得はFacebookのマーケティング上重要なトピックであることは変わりません。ここにFacebookのうまみがあるのです。
アプリを利用したファン獲得ができないとなると、Facebookページの運営者としてはファン獲得のために他の手段が必要です。しかし、コミュニケーションの質を重視することになれば、その手段を用意するところになかなか手が回らない。そうなれば、ファン獲得のために手軽に利用できるFacebookの広告を出稿する可能性は十分に高まるのではないでしょうか。もちろん、ちゃんと考えれば広告を出稿する以外にもファン獲得の手段はたくさんあるので、必ずしも広告を出す必要はありませんが。
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