2012年5月18日金曜日

ディズニーやMicrosftが開発する次世代センサー ⇒ ナチュラル・ユーザ・エクスペリエンスの実現へ


センサーの技術は今後さらに進化することが予想されます。実用化段階にある技術ももちろんですが、その先の技術もすでに見え始めているからです。

Kinect night / Andre Um

  ディズニーの次世代タッチセンサー ⇒ ナチュラル・ユーザ・インタフェースの具現化へ
ディズニーリサーチは次世代タッチセンサー技術「Touché」を開発しました。この「Touché」の最大の特徴は
 ・あらゆる物質へのタッチを識別できる
 ・どのように触れているのかを識別できる
ということ。

「あらゆる物質」、といっているのは当然スマートフォンなどのデバイスだけをさすものではありません。水のような液体であっても、人間自身の体であっても対応できるのです。しかも、「どのように触れているのか」も識別できるわけです。指先で触れているだけなのか、強く押し込んでいるのか、細かい人間の動きを感知することが可能になります。つまり、あらゆる場所で人間の行動を正確に読み取ることが可能になるのです。

技術紹介の動画では、
 ・ジェスチャーをつかって操作するミュージックプレイヤー
 ・タッチの方法で操作内容が変わるスマートデバイス
 ・ドアノブの触れ方で表示が変わるドア&ウィンドウ
 ・姿勢によって照明が自動的に変わるソファー
などが紹介されています。共通していえることは、人間のナチュラルな行動に対してデバイスが連動すること。デバイス自体を意識することなく、デジタルな仕組みなのですが、非常にアナログ的に利用できています。


  Microsoftは威圧センサー ⇒ ごく普通の操作自体が認証に
Microsoftはコントローラーの表面につけた威圧センサーで、手のひらや指からの反応を読み取り、個人を識別する技術を開発しました。要は、手の感触で認証を行うというもの。ユーザ認証の仕組みとして特許を出願しています。

この威圧センサーを応用すれば、スマートフォンやPCなどのデバイスのセキュリティに役立てることができます。手の感触は千差万別、一人ひとりが異なります。その手の感触を使ってロックをかければ、自分のデバイスを他人に使われるリスクを下げることができます。しかも、暗証番号の入力も不要になります。さらにデバイスとネットワークをOpen IDで紐付けておけば、威圧センサーで認証をとったあとはWebサービスも一貫して利用することができます。いちいちユーザIDやパスワードを入力する必要もなくなるわけです。つまり、この威圧センサーはナチュラルな操作それ自体を、高度なセキュリティとする可能性のある技術なのです。


  センサー技術の発達はナチュラルがキーワードに ⇒ ITを意識しないユーザ・エクスペリエンスを
今後もセンサー技術は発達していくことが予想されます。そこに共通してもとめられることは、“ナチュラル”に利用できること、つまりナチュラル・ユーザ・インタフェースを実現するものであることです。

このナチュラル・ユーザ・インタフェースは、デジタル・デバイドを解消することに大きく役に立ちます。なぜならば、ユーザはITデバイスを意識することなく利用することができるからです。スマートフォンやPCの操作を覚える必要はありません。普段の生活を、普段どおり行うだけで、ITにつながり、そのメリットを享受できるようになるからです。

では、実用化していくためには何が必要でしょうか。センサー技術を開発は非常に重要な要素ですが、それだけでは不十分です。大事なことは具体的な利用形態=ユーザ・エクスペリエンスをデザインすることにあります。

しかし、ユーザ・エクスペリエンスをデザインするといっても簡単ではありません。このとき有効な手段は、アナロジー(類比)を利用することです。まず、優秀なお手伝いさんやアシスタントがいる世界観をイメージします。口頭で伝えたり、指先で指示したり、場合によっては「お~い」といっただけで欲しいものを持ってきてくれたり。そんな世界観をイメージした上で、
 ・お手伝いさんやアシスタントをITに置き換える
 ・しかもITをユーザに見えないようにする
といったことを行ってデザインしていくと、どのような利用形態が実現できるのかが見えてきます。あとはその中で利活用できるセンサー技術を適用していく、というアプローチです。ちなみに適用できない分野は、今後の新規技術開発のヒントとなっていきます。


  まとめ:ナチュラルなユーザ・エクスペリエンスが価値に
ディズニーやMicrosftが開発したセンサー技術は、ナチュラル・ユーザ・インタフェースを具現化するものとなります。しかし、ただその技術があるだけではユーザにとっての価値は生まれません。ナチュラルなユーザ・インタフェースをつかった、ナチュラルなユーザ・エクスペリエンスをいかに提供するか。そこにビジネスとしての可能性と競争優位が眠っているのです。