2012年5月23日水曜日

FacebookがApp Center発表 ⇒ ソーシャルがハード+OSの価値を超えられるかが成否の鍵

IPOをしたばかりのFacebook。ナスダックに上場した企業として、ビジネスの手打ちも次々と出てきています。すこし期待先行気味ですが、具体的なサービスがどうなるかは注目です。 

facebook lite / chadarizona

  Facebookが「App Center」を発表 ⇒ Facebookの新たな収益源に
Facebookは2012年5月9日に新サービス「App Center」を提供することを発表しました。このApp CenterではFacebookアプリを探し出し、利用できる環境が提供されるようになります。これまでFacebookはOpen Graph APIを公開し、Facebookアプリを開発できる環境を用意してきていますので、いよいよ事業として取り組むといったところ。今後、Facebook上での決済サービスも連動させて有料アプリの提供も行う予定なので、このApp Centerは、新たなFacebookの収益源となる可能性があります。

提供されるアプリは
 ・FacebookのWebページで動くアプリ
 ・Facebookのモバイル環境で動くアプリ
 ・FacebookのIDを利用して使えるアプリ
 ・Facebook Pageと連動するアプリ
などになるとのこと。コンテンツとしてはユーザインタフェースに工夫を凝らした特化型SNSに近いもの(Instgramなど)、Facebookのソーシャル機能と連動するゲームやO2Oサービスなどが想定されます。


  競合はAppleとGoogle ⇒ ハード+OSをソーシャルは超えるのか
アプリ提供、となると一番にイメージできるのはAppleのiPhone/iPad。そしてGoogleのAndroid。すでにアプリの総数は2012年末で100万を越えています。FacebookのApp Centerはこの市場に対し、ソーシャルを武器に参入していくことになります。

これらの3社に共通して言えることは、いずれもアプリは主要な収益源とはならないということ。しかしながら、戦略上重要な意味を持っています。Appleの場合はハードの販売、GooleやFacebookの場合は広告が主要な収益源。その収益を獲得するためのトリガーとしてアプリが活用されているわけです。興味深い、便利なアプリがあれば、ハードに人気が集まりAppleのiPhone/iPadの売上げは伸びます。Googleの場合はAndoridを搭載したスマートフォンが市場に展開され、ユーザ接点が増えるため広告収益が上がります。Facebookの場合は、Facebookアプリによってユーザの裾野を広げつつ、ソーシャル・グラフを取得することで、より効率的な広告提供を行って収益につなげることになるのでしょう。

しかしながら、AppleとGoogleとFacebookでは大きく異なるポイントがあります。それはAppleとGoogleはハードとOSの展開を行っていること。つまりエンドポイントとなるユーザデバイスを確実に押さえているわけです。それはユーザがサービスを利用するために最も身近で、もっとも重要な要素を押さえており、簡単にユーザが他のサービスに乗り換えられないように囲い込みができていることを意味します。

これに対してFacebookは、Facebook Phoneのウワサはありますが、基本的にハードもOSも提供していません。Facebookが提供するのはソーシャル、ユーザ同士のつながりです。見方によっては自分の人生に関わる人間関係に影響する部分でもあるので、サービスのコアになる部分を握っているともいえるでしょう。しかしながら、他の類似サービスによって代替される可能性は否定できませんし、ブームが去ればユーザが去ってしまう可能性も否定できません。事実、お膝元のアメリカではFacebook離れも進んでいる状態。グローバルで見れば成長路線にはありますが、不安要素であることは間違いありません。

ここで一つの可能性として、Facebookは単独でのアプリ提供にそれほどこだわらない、ということも考えられます。つまり、不安要素があるのであれば、安定したプラットフォーム提供を行っているAppleやGoogleのサービスを利用してしまう、ということです。App CenterはあくまでもFacebookに関わるアプリを集約する場として位置づけ、iPhone/iPad向けのアプリはApp Storeでも、Android向けのアプリはAndorid Marketでも提供できるようにしておくのです。中間手数料が取られる分、収益性が多少低下する点は気になりますが、広告収益を軸に感がると言うのであれば可能性は無くは無い、といったところでしょか。アプリ開発者にとっては中間手数料がFacebookにもAppleやGoogleにもとられる形になりかねないので、アプリ提供しづらくなりそうですが。

いずれにしても、ソーシャルを武器に、ハード+OSのスキームに対してアプリ市場でどこまで戦えるか、App Centerの動向に注目です。