見直されるゲームセンター ⇒ コミュニティの形成の可能性
ゲームセンターは若者のたまり場、というイメージが強いところ。体験ゲームで盛り上がったり、プリクラを撮ったり。しかし今、ゲームセンターは新しい形態をとりはじめています。それはシニアをターゲットとした形態。
現在のシニア層は1970年代にインベーダーゲームを楽しんでいる世代。ゲーム自体に大きな抵抗感はありません。そしておサイフにも余裕があることから、新しいゲームセンターの主要ターゲットとして考えられています。
このシニア層がゲームセンターに集まることは、単にマーケティングのターゲットが増えるだけではありません。まず、シニア世代同士の交流が生まれる可能性があります。対戦式だけでなく、コミュニケーション要素を取り入れたゲームをおいておけば、ゲームセンター自体を地域交流の場にすることも可能になります。また、ゲームは世代を超えて楽しめることも魅力。つまりシニア世代とその孫の世代が一緒に遊ぶ場にもなるわけですから、世代間交流の可能性もでてきます。提供するゲームコンテンツによっては、地域文化継承の場として利用できるかもしれません。ゲームセンターは地域交流の場=コミュニティ形成の場としての可能性を持ち始めているのです。
O2Oというキーワード ⇒ リアルとつながるゲームの世界
ITの世界では今、O2O(Online to Offline)という言葉をよく目にするようになっています。これはOnline、つまりWebの世界と、Offline=リアルの世界を繋ぐというもの。2000年ごろはクリック&モルタルという言葉で表現されていました。具体的にはどういうサービスがあるかというと、たとえばオンライクーポンが該当します。Web上でクーポンを手に入れて現実の店舗で利用する、というもの。FacebookなどのSNS事業者もクーポンサービスをスタートしてきており、今後このO2Oはトレンドになってくることが予想されます。
このO2Oに関連して、位置情報やAR(拡張現実)を利用したサービスも増えてきています。位置情報について言えば、例えばぐるナビのアプリであれば現在位置を中心に飲食店を検索するサービスがあります。ARについても、パイオニアがカーナビに採用して話題になっています。今後、ARがビジネスに活用されるシーンも増えてくるでしょう。
これらのトレンドはゲームに関しても同様の流れがあります。単純にゲームの世界の中だけで完結するわけでなく、リアルの世界でのアクションにつながるゲーム。すでにコロプラなどが位置情報を利用したゲームをすでに展開されていますし、ゲームにARを組み込んでいるものも登場してきています。ゲームはバーチャルの世界からリアルの世界につながってきているのです。
再び注目されるアナログ ⇒ ゲームが高めるコミュニケーションの質
東日本大震災がきっかけで、アナログゲームも再び注目されています。事実、タカラトミーの「人生ゲーム」は、震災発生後の2011年4月~9月の売上は前年同期比で2割増となっています。その理由としては
・電力を必要としない
・コミュニケーションを生み出す
というものが大きいでしょう。
原発停止により電力不足が懸念される昨今、電力を極力使わないようにすることはゲームに関しても例外なく必要になります。ゲームは心理的な不安を和らげることもできます。不安に思っている要素を切り離し、気分転換させてくれます。しかし、電力が止まっただけでゲームが全く遊べなくなってストレスフルな状態が続けば、不要な対立を生み出したり、トラブルを引き起こすかもしれません。このとき、アナログゲームは電力の心配はいりませんので有効な解決策になります。実際、市販の子ども用防災袋にはトランプなどのゲームが入るようにもなっています。災害時のストレスから子どもを守る手段として、アナログゲームが見直されているのです。
それと同時に、震災以降家族や友人との絆の大切さが見直されています。絆は日々のコミュニケーションがもたらすもの。このとき、アナログゲームは有効なコミュニケーションツールとなります。なぜならアナログゲームは、参加者がゲームを簡単にアレンジすることが可能、という特徴があります。しかし、アレンジするには参加者同士がルールを理解しなければいけません。ルールを理解するためにはお互いに話をしなければならないわけですから、会話は必然的に生まれます。そしてゲームを進めていくと、ゲームに勝つために相手の思考を読み取ろうとします。つまり、相手の気持ちを考えようとするのです。そうするうちに、お互いの喜怒哀楽が見えてきて、コミュニケーションの質も高まっていくのです。