2012年5月7日月曜日

大きな変化を迎えるゲーム業界② ⇒ 高騰するソフト開発が生み出す負のサイクル

ゲームのハードが進化したことで、ゲーム開発のコストが高騰していきます。それは具体的にどのような影響を与えているのでしょうか。

tkosuga



  ソフト提供の新たなチャレンジが困難に ⇒ ゲーム業界のイノベーションは限定
結果としてハードの進化は、ソフト開発のコストを高騰させる、という状況を生み出しています。このため、ソフト開発を行って収益を獲得できるのは、大規模なプロモーション活動を行えたり、既存のファンを確保している有名ゲーム企業のみとなっています。

もうすこし突っ込んで言えば、すでに知名度があり、売上げが確約されているような有名シリーズか、テレビアニメや映画とのタイアップによるゲームに集約されていきます。このため、優れたゲームのアイディアやコンセプトを持っていたとしても、進化したハードのゲームソフトとして提供することは非常に難しい状況になっています。新しいチャレンジがしにくい環境では、当然ながらイノベーションは限定されます。


  表面的な機能を追及 ⇒ ヒット不毛の負のサイクルへ
また、コストの高騰という問題をおいておいても、ゲーム内容の質の低下、という問題もハードの進化は引き起こしているかもしれません。美しい映像、迫力のあるサウンド、斬新な操作性といったインパクトのある要素はゲームに盛り込むことができます。しかしながら、インパクトに頼りすぎてしまったために、ゲームのストーリー性、そもそもの面白さといった点の追求がおろそかになってしまっているようにも感じます。

結果、スマッシュヒットとなる作品は出すことはできても、持続的に愛され続ける本当のヒット作品はなかなか登場しなくなっている現状を作ってしまっているのではないでしょうか。そして持続的なヒットがでないため、短い期間で開発コストを回収できるスマッシュヒット作を狙う傾向が強くなる。そうなれば余計にインパクトに頼る形になり、さらにゲーム品質の低下をまねく。そのような負のサイクルが回ってしまっているのではないでしょうか。


  まとめ:武器であったハードが首を絞める状況に
ハードの進化はこれまでゲーム業界にとっては、新しいビジネスチャンスを作るセオリーのような存在でした。しかし、高度化したハードは次第にソフト開発コストを膨らませる結果となり、ゲーム業界のイノベーションを限定しはじめています。また、ハードの機能を活かすことに注力し、ゲーム内容の質自体をおろそかにして、スマッシュヒットを狙う傾向は、本当のヒット作を生まない負のサイクルを生み出しています。その結果、任天堂をはじめとする既存のゲーム業界のプレイヤーの首を絞める結果につながっているのではないでしょうか。