2012年5月31日木曜日

女性雇用の実態調査、企業の25%は育児休暇に否定的 ⇒ 雇用制度そのものの根本的な見直しが必要


女性がビジネスの現場で活躍するようになった、とよくメディアでは報じられています。しかしながら、それはまだ一部の事例であり、全体を底上げするにはいまだいたっていないようです。

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  数字で見る女性雇用の実態 ⇒ 企業の25%は育児休暇に否定的
株式会社アイデムは2012年5月30日に「女性の労働力に関する意識・実態調査結果」を発表しました。調査期間は2012年2月10~13日、対象は20~30代の既婚女性1334名、企業1439名。主な調査結果は以下の通りです。

○正社員としての雇用継続 : 約半数が結婚・妊娠で正社員ではなくなる
・結婚後で正社員ではなくなった : 47.2% (正社員継続:52.5%)
・妊娠・出産・育児後で正社員ではなくなった : 46.2% (正社員継続:53.8%)

○企業の女性雇用に対する意識 : 男女均等にはいたらず
・新卒採用時に長期雇用継続ができることを重視 : 51.9% (男性 : 66.5%)
・中途採用時に長期雇用継続ができることを重視 : 50.1% (男性 : 65.1%)
・女性よりも男性の能力を高く感じる : 52.4%(男女差なし : 36.0%、女性のほうが高い : 10.5%)

○企業の制度適用の実態 : 育児休業は適用されるが包括的な対応不十分
・女性に育児休暇取得に否定的 : 25.3% (肯定的 : 74.7%)
・育児介護休業法の義務項目への対応不十分
育児休業(1歳まで) : 33.5% (対応あり : 64.3%)
短時間勤務 : 46.1% (対応あり : 50.6%)
所定労働時間免除 : 48.3% (対応あり : 47.1%)
子どもの看護休業 : 53.0% (対応あり : 41.2%)
法廷時間外労働の制限 : 49.9% (対応あり : 45.1%)
深夜業の禁止 : 50.3% (対応あり : 44.2%)

○既婚女性の育児に対する意識と実態 : 育児に母親が専念する意識は高め
・女性が育児に専念する期間 :
2歳未満 : 18.6%
2~3歳未満 : 26.0%
3歳~小学校入学前 : 19.7%
小学校入学前まで(上記合計) : 64.3%
育児に専念する必要なし : 17.1%
・配偶者による育児協力あり : 65.0% (協力なし : 20.5%)
・自分の親による育児協力あり : 45.1% (協力なし : 40.3%)
・配偶者の親による育児協力あり : 25.8% (協力なし : 59.4%)


  女性雇用の問題点 ⇒ 雇用側と被雇用側での考え方のアンマッチ
これらの調査結果を踏まえると、女性雇用が一般的になってきたとはいえ、いまだ表面的なレベルにとどまっていることが伺えます。その結果、
・女性としては、母親として小学校入学前まではなるべく育児をしたい
・1歳までの育児休暇だけでなく、その後も育児ができる環境が欲しい
・しかしながら、企業としては育児休業以降のケアが手薄
・その分のサポートを配偶者や親から得られるかというと、必ずしもそうではない
・結果として、正社員を辞めてなるべく育児に専念できるようにする
という流れがうまれているようです。特に
・雇用者側としては1歳までの育児休業でケアを提供
・被雇用者(女性)は小学校入学までのケアが必要
となっている部分でのアンマッチが大きく影響しているように見受けられます。


  既存のアプローチの限界 ⇒ 雇用制度そのものの根本的な見直しが必要
では、このアンマッチをどのように改善していけばよいのでしょうか。まず、従来型の制度、雇用形態に当てはめていくことにはすでに限界があります。雇用に対する考え方そのものを変えていくことが必要なのです。例えば
・仕事は会社という場所に出勤して行うもの
・全員が同じ時間に働くもの
・成果は働いた時間の量に比例して得られるもの
といった考え方を見直すことが必要でしょう。在宅でも勤務はできますし、仕事の時間はずれていてもコミュニケーションルールがあれば対応できます。また、マニュアルワークならともかく、知的生産を中心とする現在の経済構造であれば量ではなく質に仕事の成果は比例するのです。その上で、企業内の雇用制度に加え、企業間や地域での育児サポートの仕組みをたてつけることができれば、改善へのステップを始められるのではないでしょうか。


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