飲食店もモバイル対応 ⇒ モバイル・サービスが集客装置に
・Wi-Fi環境
・電源
・充電設備
といったあたり。
この背景としては、スマートフォンをはじめとするモバイル端末をいまや一人一台持っているという状況があるからです。モバイル端末を持っているということは、外出中にインターネットにアクセスするニーズがあるということ。当然ながら飲食店で利用するケースも少なくありません。
このとき、問題になるのがモバイル端末の通信環境と電池。まず、通信環境についてはスマートフォンであれば3G回線で接続はできますが、安定した、かつ高速なWi-Fi環境が用意されているほうが快適です。タブレットやノートPCであれば、なおさら公衆Wi-Fiに接続したいところ。そして電池はより切迫した問題です。スマートフォンにしても、その他のモバイル端末にしても延々と使い続けられるほど電池は持ちません。となれば充電が必要ですが、外出先だと電源を確保することはなかなか難しい。乾電池で充電できるアダプターもありますが、充電スピードも量も十分とはいえません。さらに電源があったとしても、充電器・接続機器がなければ意味がないのです。
こうした
・飲食店でモバイル端末を利用するケースが多いという事象
・モバイル端末に関わるユーザの課題
を組み合わせて考えると、モバイル環境を飲食店に設置することが集客力につながる、という仮説を立てることができるのではないでしょうか。
ターゲットは日本人だけじゃない ⇒ 外国人旅行者最大の不満はWi-Fi環境
モバイル環境の整備、という点にフォーカスして考えると、ターゲットは日本人に限る必要もありません。実は日本にやってくる外国人観光客の大きな不満点の一つには、自分のモバイル端末でインターネットを利用しにくいこと、にあるのです。事実、観光庁が発表した「外国人旅行者の日本の受入環境に対する不便・不満(2012年3月14日発表)」でも、無料公衆Wi-Fi環境が整っていないことが外国人旅行者の最も困った項目として挙げられています。
つまり、Wi-Fi環境を整備することは、外国人観光客を取り込む術ともなっていくのです。外国人観光客をターゲットにする飲食店は限られるでしょうが、観光地や都会部の飲食店であれば検討してみる価値は十分にあるでしょう。また、海外展開を考えている、または行っている飲食チェーンであれば、外国人観光客を日本の店舗で集客し、Wi-Fi環境を提供することでFacebookなどで情報を拡散してもらうことで、現地店舗のソーシャル・プロモーションにつなげるという戦略も取れます。
実際に増えているモバイル対応店舗 ⇒ 絶対数が少ない今は差別化要素に
では、実際のところモバイルに対応している店舗はどの程度あるのでしょうか。飲食チェーンで対応しているところでは、まずルノアール。ソフトバンクやWi2のWi-Fiスポットが入っており、電源も利用できます。店舗によっては充電器も貸してくれるため、ビジネスマンには強い味方。コーヒーはちょっと高めですが、お茶もだしてくれるので少し長めに過ごすのであればリーズナブルな店舗。また、マクドナルドもモバイルに対応した設備を提供しています。やはり公衆Wi-Fiは準備されており、新型の店舗ならば電源席も確保されています。店舗によりますが、スターバックスやターリーズ・コーヒーなどもモバイル環境が整っています。
このほか、地域で対応しているケースもあります。こちらは電源環境というよりは、Wi-FI環境。福岡市や大阪市、京都市では市内のWi-Fi環境を充実させる施策をとっていますし。駅構内や大型商業施設が用意している場合もあります。
ただし、今のところそれでもモバイル環境が整備されている飲食店や施設はまだまだ少ない状態。今後増えてきて、モバイル環境が充実していることが当たり前、となるかもしれませんが、データオフロードの施策と連動する形で広がると仮定するならばそれは2015年ごろの話。現時点であれば、モバイル環境を充実させることは、他との差別化要素に十分になりえそうです。やり方によっては、メーカーとタイアップをうって、より強力なプロモーションを展開するという策も取れるでしょう。事実、パナソニックは東京・渋谷でJINNAN CAFEとコラボした、「パナソニック チャージ CAFE」を2012年5月29日から6月10日まで期間限定でオープンしたりもしていますので。
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