2012年5月16日水曜日

牛丼チェーンに求められる収益改善策 ⇒ マクドナルドに習う付加価値提供型高単価サービスが必要に


新規店舗を投入し、不採算店舗を閉めるスクラップ&ビルドの戦略だけではまかなえないほどに落ち込んできている既存店売上高。値下げキャンペーンのインパクトも薄れた今、次なる手打ちが必要となります。

shokai

  求められる収益性改善の施策 ⇒ 付加価値提供する高単価サービスに活路あり?
その一つの可能性が、これまでとは路線を変えた高単価サービスへのシフト。外食産業を牽引し続け、ある意味価格のトレンドを作ってきているマクドナルドは、7月から高単価のコーヒーの提供を開始します。一般店舗の提供価格が100円であることに対し、300~350円のコーヒーを提供する「マックカフェ バイ バリスタ」のサービスを開始します。専用のレジを設け、常駐するコーヒー職人が注文を受けてから淹れてくれるというもの。ちょっとしたプレミア感を演出しています。ちなみに250円のセットを販売するなど、低価格路線と並行して展開する予定となっています。

このマクドナルドの施策が収益性につながるのであれば、牛丼チェーンにもヒントになります。つまり、従来の低価格路線をキープしつつ、付加価値を提供する高単価サービスを提供していくのです。一律300円で100人に売れていたものを、250円×80人と800円×20人で売る、というイメージです。これならば、もともと30,000円だった売上げが、36,000円にアップする計算になります。


  具体的な収益改善策の可能性 ⇒ 早い・安い・うまい、以外のニーズを捉えること
問題は、どのような付加価値サービスを牛丼チェーンで提供するか、です。マクドナルドは手早い食事をする場所としての利用、という本来ファーストフード店が持っているニーズとは別に、喫茶利用、というユーザニーズを深堀りして付加価値付けを行っています。では牛丼チェーンはどうでしょうか。いくつかの可能性を考えるならば、
 ①ファミリーレストランのような家族利用
 ②夕食時に利用する客の居酒屋的利用
 ③お惣菜屋のような、おかず購入目的での利用
といったところが可能性としては考えられるでしょうか。

①については一部郊外型の店舗ですでに実施しています。繁華街にある既存店舗で展開することで新規顧客の開拓に結びつけば可能性が広がるかもしれません。ただし、テーブル席の設置など、設備投資が必要になるため、現実的ではないかもしれません。

②については立ち飲み屋がブームになっていたり、お一人様で食事をする人が増えていることからも可能性はあるでしょう。もともとあるメニューを少しアレンジしておつまみを出せばメニューも対応できます。店舗内装も修正する必要はありません。ただし、お酒を扱うことになるため、不必要なトラブルを招く可能性もあるため、オペレーション管理・リスク管理の徹底が必要になります。

③についても既存の設備をそのまま利用することができます。既存のメニューアレンジで新しい商材を増やすこともできるでしょう。もともと持ち帰りサービスをやっているわけですから、オペレーションの修正も最小限ですみます。忙しい主婦の味方として、晩御飯のおかずを提供する場になれれば、新しい収益を得ることができるかもしれません。お惣菜屋や弁当屋、スーパーなどとの差別化がどこまでできるか、というところが課題になりますが。

いずれにしても、従来の牛丼チェーンに対するニーズから踏み出したところで、新しい価値を提供することに可能性がありそうです。短絡的な低価格路線ではなく、利用客をじっくり観察し、未知のニーズを捉えて価値を提供する。そんなストーリーが牛丼チェーンの収益改善に貢献できるかもしれません。