2012年5月10日木曜日

大きな変化を迎えるゲーム業界⑦ ⇒ ソーシャル・ゲームの開発一本で億単位の売上げも


ソーシャルゲームはプラットフォームだけでなく、開発者が多く参入してゲームが提供されることで広がっています。しかし、一番儲かるのはプラットフォーム提供者。では、開発者が参入している理由とはどういったところにあるのでしょうか。

typester


  開発者のメリットは? ⇒ 既存リソースで収益獲得チャンス
では、プラットフォームにゲームを提供する開発者にはメリットがあるのでしょうか。リスクからいってしまえば、
 ・開発するゲームがヒットしなければ収益を獲得できない
 ・売上げの一定料率はプラットフォーム手数料として徴収される
 ・ソーシャル・ゲームの場合は開発後、運営も必要となる(継続的に費用発生)
といったものがあげられます。

しかし、その反面、これまでのゲームハードに比べて開発費を大はばに安く抑えることもでき、アイディア一つで勝負できるところもあります。また、これまで企業向けシステムやWebの開発をしてきたシステムエンジニアのスキルを利用できることから、SI事業者が新規事業として乗り出しやすい、という点もあります。平たく言ってしまえば、既存のリソース・スキルで新たな収益獲得のチャンスがあるわけです。


  どのくらい儲かる? ⇒ “ヒットすれば”億単位の売上げ
また、うまく話題になればプラットフォームの他のゲームを利用しているユーザを引き込み、あっという間にユーザ数を増やして収益化が可能になります。

ユーザの課金率(有料コンテンツを利用するユーザの割合)は、Mobageで20.8%、Greeで17.3%(2012年 シード・プランニング調べ)。もちろん、ゲームによって課金率に差は出るため一概には言えませんが、5人に1人は有料コンテンツを利用してくれる見込みがあるのです。

平均的な課金額は1300円程度(2010年 ソフトバンク・ヒューマンキャピタル調べ)。こちらもゲームによってばらつきはありますし、複数のゲームにそれぞえrーザが支払っているだけかもしれません。しかし、“ハマッている”状態になれば一つのゲームに集中的にユーザがお金を使うことは十分に考えられます。

そして、課金対象となる可能性のあるユーザはGree、Mobageともにそれぞれ約3000万人。Facebookは1000万人超。プラットフォームにはすでに数多く存在しています。加えていずれも日本国内の数字ですので、海外も含めればさらに増えます。

これらの数字をふまえて考えると、例えばプラットフォームのユーザの1%だけとり、課金率・課金額がが多少下がったとしても、
 3000万ユーザ × 1%(提供するゲームのユーザ割合) × 10%(課金率) × 1000円(月額課金額) = 3000万円
の売上げを獲得できるのです。ヒットすれば、月額売上げ億単位も現実味のある話です。

このうち、プラットフォーム側に30%をとられ、さらに30%を運用コストとして取られたとしても、1200万円程度の利益獲得。既存リソースを使って開発ができるのであれば、十分に参入するメリットが数字上は出てきます

ただし、これはあくまでも机上の数字の話。実際にヒットするかどうかはゲームを出さなければわかりませんし、全てのゲームがヒットするわけではありません。場合によってはほとんどユーザが付かずに収益も上げられずに終わるゲームもあるのです。