2つの注意力テスト動画 ⇒ 答えを見つけることはできるか
①犯人を捜せ
②何回パスした?
次はこちらの動画。白チームが何回パスをまわしたかを数えてみてください。
答えを見つけることができたでしょうか。
明らかな変化に気付けたか ⇒ 人間は複数のことは認知できない
この2つの動画、いずれも明示した設問の解を求める動画ではありません。いずれも人間の認知力を実感するための動画。最初に動画を見たとき、
・「①犯人を捜せ」では21箇所変化していること
・「②何回パスした」ではムーンウォーキングする熊がいたこと
に気付けたでしょうか。
実は気付けなくて当たり前。明示した設問に対する解を探すことに集中するあまり、これらに気付けないケースがほとんどなのです。では、なぜ気付けないのでしょうか。それは人間が同時に認知できることは限られており、複数を同時に認知することは難しいからです。例えそれが明らかに、物理的に変化しているものであっても、全く気付かないことも少なくないのです。
認知力テストから学ぶこと ⇒ 情報サービスとコミュニケーションの核が見えてくる
この認知力テストから学ぶべきことはいくつかあります。まず、人間の認知には限界がある、という前提に立つことが必要です。その上で
・自分が見えていない情報は必ず存在する
・正確に情報を伝えるのであれば集中が必要
ということがいえます。実はこの2点は、情報サービスやコミュニケーションで重要なポイントを付いているのかもしれません。
まず、情報サービスという点においては、見えていない情報に気付かせる、ということができれば大きな価値になります。Amazonのリコメンド機能やGoogleが始めた「Knowledg Graph」によるセマンティック検索のようなサービスは最たる例でしょう。今後情報サービスの競争力になっていく可能性は十分考えられます。また、集中させる、ということも必要な要素です。ユーザの利用環境に応じてどの情報に集中させるか、ということをデザインできれば、かなり高度なユーザ・エクスペリエンスを提供できます。安全性と利便性を兼ね備えた、今だけ・ここだけ・あなただけのユビキタスなサービスを実現するために必須の概念とも言えるでしょう。
コミュニケーションという観点では、見えていない情報が存在する、ということを知っているだけで大きく変わります。自分とは異なる考え方、発想が存在していることが当然となるわけですから、相手の話を“聴く”ということは必然になります。また、その情報を正確に取るためには相手に集中する必要がでてきます。いわゆる“傾聴”です。この傾聴がベースラインにあるだけで、相手との関係性を良好なものにし、コミュニケーションの質を上げていくことができるのです。もちろん、それが全てではありませんが、不可欠な要素であることは間違いありません。