専用ハードに比べて、ゲームへの参入障壁が低いスマートフォン。その可能性はいったいどのようなものが考えられるのでしょうか。
短い時間で利用 ⇒ ゲームは見た目よりも質重視
スマートフォンは就寝前や移動中、休憩中などちょっとした時間に利用されています。1回あたりの利用時間も決して長くはありません。このため、短時間で遊べるゲームも好まれます。そこでもとめられるのは、アイディアやコンセプトです。実写と見まごうばかりの映像も、迫力のあるサウンドもそれほど重要ではありません。ユーザがゲームを楽しめるアイディアとコンセプト、それを楽しむための適度なUIの用意、つまりユーザ・エクスペリエンスのデザインこそが重要になるのです。
ゲームの新しい可能性開拓にも ⇒ 商品から媒体へ
スマートフォン向けのゲームは、ゲーム提供の新しい可能性ももたらします。まずあげられるのがマネタイズ、ゲーム提供によるお金の稼ぎ方の可能性を増やします。これまでゲームはハード販売かソフト販売(CD-ROMなど)での販売売上げが主でした。しかしながら、スマートフォン向けのゲームであればオンライン接続が可能になるので、広告掲載によって収益を得たり、企業タイアップでスポンサー料を得たり、ゲームコンテンツを追加販売することで収益を得たり、月額利用料の形で課金したり、といったことが可能になります。これらはスマートフォンに限らず、ケータイゲーム全般にいえることでもあります。
また、ゲームを介してユーザ同士のコミュニケーションも生まれます。FacebookやTwitterなどのSNSにつなげば、ゲームの情報をユーザ同士で交換することもできるようになります。位置情報やクーポン情報を紐付ければ、ユーザの行動自体を喚起するツールとしても利用することができます。つまり、ゲーム自体をユーザに対するプロモーションツールとしても位置づけることが可能になるのです。
スマートフォン向けのゲームは、商品として販売するだけでなく、人と人を結びつけてビジネスの機会を生み出す媒体としての価値が強くなってきているといえるでしょう。もちろん、その反面新しい問題も生まれていますが、これはまた改めて整理します。
まとめ:ゲームのメインストリームはスマートフォンに
参入障壁も低く、提供機会も多く存在し、かつアイディアやコンセプトで勝負もできる。さらには単純に販売する以上に、媒体としての利用価値も高いスマートフォンのゲーム。これだけの要素がそろってしまうと、既存のゲームハードに向けてゲーム提供を行う意義は薄れてきます。そこにくわえてハードが進化したことで、既存のゲーム業界が行き詰まりを見せていれば、ゲームのメインストリームはスマートフォンに移ってきてもなんら不思議はありません。ただし、それは新しい問題も生み出しています。この点についてはまた改めて整理します。