ビジネスが複合的な要素を得て、新しいイノベーションを引き起こす。そのためには、一見全く関係ない要素も取り込んでいくことも有効かもしれません。
「SYNAPSE Project」 ⇒ サイエンスをハイセンスに
科学は非常に難しいイメージで、専門家のもの。なので、一般人には非常にとっつきにくいイメージがあります。しかし、でんじろう先生が解説してくれるように、科学のテクノロジーを利用した実験は私たち一般人の興味を強く惹き、楽しませてくれるものであることは間違いありません。そしてその科学のテクノロジーが私たちの生活の安心・安全を守り、利便性を高め、豊かな社会の実現に貢献しています。
では、どうやって科学のとっつきにくいイメージ、難しいイメージを取り除いて親しんでもらうか。そんなテーマをもったプロジェクトが「SYNAPSE Project」です。科学にアートやデザインなどの他のジャンルを組みあわせることで、専門誌にはない全く新しい切り口で科学の面白さを伝えることをコンセプトにしています。具体的な活動としては、フリーペーパーの発刊やイベントを開催しています。
難しいことはシンプルに ⇒ アートが引き出す知識創造
この活動の特徴は、
・科学の専門分野の話であること
・アート的な手法で抽象化していること
・伝える情報が表面的な要素に留まらないこと
といったところにあります。科学とアートやデザインのスペシャリストがコラボレーションし、表面的な派手さだけでなく中身も追求しているのです。しかしその本質は、科学の楽しさを伝える、ということに絞られています。知識創造で有名な野中郁次郎氏の著書にも、知識を伝えるときは抽象化が必要であり、それにはアートの要素が必要である、といったことが書かれています。まさにその言葉を実践しているケースといえるでしょう。
「JUSO Coworking」 ⇒ 子育てと仕事を両立する場
JUSO Coworkingは大坂・淀川を望む十三にある地域密着型コワーキングスペース。起業家が集まる場としてだけでなく、一般企業の従業員、学生、主婦も集まれる場を提供しています。働くだけでなく、勉強の場として、地域交流の場として、ちょっとした時間を過ごす場としてスペースを提供。そのコンセプトは、「新しいワーク」の提供であり、働く場所と家族が集まる場所の一体化。
具体的には
・お父さん・お母さんが子どもをつれてこれる
・同世代の子どもをもつお父さん・お母さんの交流が生まれる
・子どもを遊ばせている間に仕事をすることもできる
・交流が仕事を刺激して新しいアイディアが出る
・アイディアを形にしたイベント開催や企業につながる
といったことができる場になっているのです。簡単にいってしまえば、仕事をしながら家族を大事にして、地域ともつながり、新しいことも始めるきっかけも得られるわけです。
先入観を捨てる ⇒ 背反するからこそつなげると価値に
特徴を整理すると
・仕事とプライベートをあえて切り離さないこと
・人と人の交流のきっかけがあること
・新しいものを生み出すイノベーションの土壌があること
といったところでしょう。そしてこれらがすべて「新しいワーク」の創出の方向に向いているわけです。
ここで特に特徴的なところは、仕事とプライベートを繋げていること。これまでワークライフバランスという言葉が広く聴かれてきました。多くの場合、仕事の時間とプライベートの時間をわけて、ちゃんと家族との時間を大事にしましょう、といった内容。しかし、仕事をしながら家族との時間を大事にすることはできないことだったのでしょうか。仕事とプライベートは両立しない、といった先入観だけで捉えてしまっていたのではないでしょうか。結果、生まれた弊害も少なくありません。であれば、その先入観を捨てる。そうすることで新しい可能性として、このJUSO Coworkingのような新しい可能性が見えてくるわけです。