2012年4月19日木曜日

新しい日本の大動脈、新東名高速道路開通 ⇒ 高度なITSで主要都市を結ぶ輸送力の強化・安定化への期待


2012年4月14日、新しい日本の大動脈が開通しました。新東名高速道路が開通したことで、人の流れ、物流システムはどのように変わるのでしょうか。


  新東名高速道路の計画 ⇒ 高度なITSを導入した新しい日本の大動脈
新東名高速道路は神奈川県海老名市から愛知県豊田市までにいたる総延長330Kmの高速道路。東名高速道と並行する形で計画されており、全線開通は2020年を予定。2012年4月14日は静岡県御殿場市の御殿場ジャンクションから静岡県浜松市三ヶ日ジャンクション間の161.9Kmが開通しました。サービスエリア・パーキングエリアも開通にあわせて6ヶ所オープンしています。

特徴的な要素を挙げると
 ・カーブや勾配がゆるやかになっている
 ・並行する東名高速よりも総延長で10Km短縮
 ・設計上の最高速度は120Km(ただし、制限速度は100Km)
といったところ。

また、新しい道路システム(ITS)も導入されており、道路上に落下物があったり、事故が発生した場合などには監視カメラの情報から自動検知して対応できる仕組みを用意しています。新東名高速道路で導入されている主な道路システムは以下の通り。
 ・リアルタイム情報提供 : 一部のカーナビなどに落下物や渋滞などの情報を配信
 ・渋滞予測 : カメラ映像から渋滞予測と移動時間を計測
 ・簡易情報 : 1Kmごとに道路上に設置される表示板、道路情報が発信される
 ・LED照明 : 照明の確度を工夫して、表示板を見えやすく、トンネルも明るく
 ・速度感覚支援システム : 道路脇に発光体を設置し、下り坂での減速、上り坂での加速を促す
 ・蓄積式標識 : 光を蓄積して発行する非常用標識
 ・掃除ロボット : トイレ清掃用のロボット
 ・充電スポット : 電気自動車向けの充電スポットをサービスエリアに配置
 ・情報ターミナル : サービスエリアに大型の多言語対応の情報提供システム
 ・ワンセグ対応 : 携帯電話向けの渋滞情報提供


  新東名高速への期待 ⇒ 日本の主要都市を結ぶ輸送力の強化・安定化へ
新東名高速道路はいくつかの期待をもって建築されました。まず、一つが東名高速の渋滞解消。例えば東名高速の1日あたりの平均交通量(2010年 道路交通センサス調べ)は
 ・御殿場ジャンクションから裾野ジャンクション : 65,328台
 ・焼津インターチェンジ-吉田インターチェンジ  : 75,136台
 ・浜松西インターチェンジ-三ヶ日インターチェンジ : 66,992台
当然、土日や連休の際にはこの交通量が跳ね上がるわけですから、渋滞になりやすいわけです。今回、新東名高速道路が開通したことで、この交通量が概ね二分されることになります。これにより、東名高速の渋滞が緩和されることが期待されているのです。

渋滞が緩和されれば当然期待されるのが物流の安定化です。東名高速道路は日本の主要都市を結ぶ大動脈。当然、基幹物流と呼ばれる大型トラックでの大量輸送も数多く行われています。この輸送で渋滞は大敵。予定通りに物を運べなければ、その影響範囲は非常に大きくなります。例えばコンビニエンスストアに物が届かなかったり、飲食店や小売店での欠品につながってしまう可能性があるのです。物流上のリスク回避という観点からも、事業者を中心に期待感を持たれています。

また、災害時の輸送経路としての期待ももたれています。南海沖地震など静岡沿岸部で自身が発生した場合、東名高速道路がダメージを受けて利用できなくなる可能性があります。このとき、東名高速道路よりも内陸側にある新東名高速道路は輸送路として確保できる可能性があるのです。少なくとも輸送経路を冗長化するわけですから、災害時のリスク低減になることは間違いありません。

もちろん、観光への効果も期待できます。道路の経路がほぼ東名高速道路と並行しているとはいえ、新東名高速道路の話題性は十分。単純に新東名高速道路を使ってみたいというニーズでやってくる利用客も少なくありません。事実、2012年4月14日の開通日は5万8千台もの交通量がありました。この話題性を利用して、観光客を呼び寄せることに周辺地域の期待が集まっています。